<私の恩人>武井壮、嫌なヤツだった頃…「いきものがかり」と奇跡的な出会い
コンサート後のあいさつをきっかけに、メンバーの水野良樹さんとご飯に行くことになりまして、そこで、これまでの思いをぶちまけました。「そもそも、僕は自分の競技力が上がれば、それでいい、それが全てだと思っていた。そうすれば、人間としての魅力も、価値も上がると思っていた。一部のトップアスリートなどは、それが当てはまる人もいるのかもしれない。でも“人気”というのは“人の気持ち”と書くだけあって、基本的には、自分以外の人の気持ちを思いやらないと、得られないものだと痛烈に思うようになった。若い頃は今より力はあった。しかし、魅力のない人間だった。今は歳をとって力は落ちたはずなのに、今までの生活では考えられないようなお金をいただき、ツイッターでつぶやけば52万人の方が耳を傾けてくださる。実は、自分の価値というのは、自分の能力ではなく、自分を欲してくれる人の数なんだと思うようになった」。 そんな思いをぶちまけたら、水野さんも、音楽の世界で全く同じことを考えていたというんです。音楽は人が聞いて初めて意味を生むもの。だからこそ、人が聞いて素敵だと思ってくれる曲を作りたい。自分自身より、外へ、外へ。自分がやりたいことを磨くのは当たり前。それをどう世に出していくかを考えるのがお仕事だと。 僕は、本当にご縁に恵まれた人間で、たくさんの方々にお世話になってきました。恩人と呼ぶべき方々は本当に、本当に、たくさんいらっしゃいます。ただ、その原点を作ってくれたのが「いきものがかり」なんです。実際、メンバーにお会いして、自分がハンドルを切った方向が間違っていなかったという“答え合わせ”もさせてもらいました。 …あの~、スミマセン、いい話をしようとしすぎて、真面目すぎましたかね(笑)。何となく、いい具合に、まとめてもらえますかね。よろしくお願いします…。 (聞き手・文/中西正男/株式会社KOZOクリエイターズ) ■武井壮(たけい・そう) 1973年5月6日生まれ。東京都出身。大学から始めた陸上で、十種競技の日本王者となる。大学卒業後、アメリカにゴルフ留学し、帰国後は台湾プロ野球のキャンプ特別コーチ、スポーツトレーナーとして活動する。32歳から芸能活動を始め、2012年、中居正広司会のフジテレビ系「うもれびと」で注目を集め、一躍ブレイク。TOKYO MXでの冠番組「武井壮しらべ 誰もやらなきゃオレがやる!!」が今年5月からスタートした。 ■中西正男(なかにし・まさお) 1974年、大阪府生まれ。大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」に出演中。