「正解探し」から「正解創り」へ、Z世代のキャリアづくりに役立つマインドセットとは?
■ 「選択」と「決断」との違い 選択肢が無限にある時代を生きるZ世代に求めたい考えは、正解は「探す」ものではなく、正解は「創る」ものであるということである。「正解探し」と「正解創り」の違いは、「選択」と「決断」の違いだと言える。 食後のデザートの選択肢として、リンゴ、ミカン、バナナの3つがあるとする(下図)。「選択」とは毎食後にデザートを選べる状況である。「今日はリンゴを食べて、明日はミカンを食べよう」と自分のその時の感情によって選べる状況である。もし「この先一生、3つのうちの1種類しか食べられない」という状況だとしたら、あなたは何を選ぶだろうか? 真剣に悩むことになるであろう。それこそが「決断」なのである。 そして決断には、「弱い決断」と「強い決断」がある。弱い決断とは、他の選択肢が断ち切れずに未練が残っている状態である。弱い決断の場合、時間が経ってくると、「今日もリンゴかぁ。毎日リンゴだと飽きるな…」「なんであの時、リンゴを選んでしまったのだろう…」と、自分の決断を悔やみ、落ち込みながら生きていくことになる。 一方、強い決断とは、他の選択肢を断ち切っている状態である。「今日もリンゴかぁ。毎日リンゴだと飽きるな…」と、ここまでの感情は同じである。違うのは次の考えであり、「それなら、明日は煮てみよう! 明後日はパイにしてみよう!」と考えるのが、強い決断をした人の特徴だ。強い決断をすると、ミカンやバナナはこの世の中に存在しないことが前提だ。そうなると、「いかに飽きずに、毎日リンゴを美味しく食べるのか?」ということにフォーカスできる。だから、アイデアを絞り出したり、新しいことにチャレンジしたりと、プラスの循環が生まれやすい。人は他の選択肢があったという事実を認識することで未練を感じるのだ。 キャリアの話に戻そう。ひと昔前、家業を継ぐという選択肢しかなかった人は、他に選択肢がないのだから、「あの時、ああしたほうがよかったのかな…」などと未練を残すこともない。ある意味で、腹をくくっているため、「この家業で自分は何ができるだろうか?」「自分はこういうやり方で家業を発展させるぞ!」と考えた人も多かったのではないだろうか。 一方で今は、選択肢が無限にある。だからこそ、自ら「強い決断」を下せるかどうかが重要になってくる。「決断」とは、文字どおり「決めて」「断つ」ことだ。決断には勇気が必要だが、断ち切って未来を見なければいけない。無限にある選択肢を前に「決断」することで、力強く、前向きに行動できるようになるはずだ。