証拠捏造を断罪した無罪判決、捜査機関に衝撃広がる…静岡県警幹部「正直納得いかない」
日弁連会長「権利救済に一刻の猶予も許されない」
日本弁護士連合会の渕上玲子会長は26日に静岡市内で記者会見し、「巌さんの権利救済にはもはや一刻の猶予も許されない」と述べた。
元東京高裁部総括判事の藤井敏明・日本大学法科大学院教授(刑事訴訟法)の話「袴田さんを犯人とする最も有力な証拠だった『5点の衣類』の赤みを巡り、学者の専門的な説明や検察側と弁護側双方の主張、その根拠とした証拠について丁寧にもれなく判断し、結論を導いた印象だ。検察側のその他の主張についても逐一検討した上で退けており、無罪判決は当然といえる。高齢の袴田さんとお姉さんを一日も早く解放するために、検察は控訴せずに判決を確定させるべきだ」
元検事・高井康行弁護士の話「本来は白紙の状態で行われるべき再審だが、東京高裁の再審開始決定の枠内で判断された印象を受ける。警察だけでなく、検察も証拠を捏造(ねつぞう)したとの指摘には論理の飛躍があり、容認できないはずだ。事件では4人の被害者と遺族がいることを忘れてはならない。再審でも死刑求刑を貫いた以上、検察は控訴して上級審の判断を仰ぐべきだ。一方で、5点の衣類を事件発生当初に発見できなかったのは捜査の不徹底だ。裁判長期化の主な原因となったことを捜査機関は重く受け止める必要がある」