お酒の飲みすぎで下痢 ありがちな勘違いとは 二日酔い対策を医師が解説
アセトアルデヒドの分解のカギはタウリン
アセトアルデヒドの分解を促進する主役となる栄養素のひとつが、タウリンです。栄養ドリンクの成分などで聞いたことがある人も多いでしょう。 タウリンは、イカやタコなどの軟体動物、貝類や魚介類、肉類、乳製品などに多く含まれています。肝臓の機能を高め、解毒作用を助けてくれるアミノ酸の一種です。胆汁酸の合成や分泌を促進し、アルコールの分解を活発にしてくれます。 また、肝細胞の再生を促し、肝臓の機能が安定することで代謝能力の向上、疲労回復にも役立ちます。 10年以上、毎日27グラムのアルコール(エタノール)を摂取している36~48歳の男性5人を対象に、アルコール摂取1時間前・1時間後にタウリン(20ミリグラム/キロ(体重))を摂取してもらったところ、アルコール摂取1時間後には血中アルデヒド濃度が低下。2時間後、4時間後に確認しても、さらに低下していたという実験結果もあります。 二日酔いの経験がある489人に、普段どんな二日酔い対策をしているかを聞いた調査では、「二日酔いを防ぐために空腹で飲酒をしない」(237人)が最多でした。飲酒前・飲酒時のおつまみのチョイスとしても、タウリンを含む魚介類などがおすすめです。また、食べる時間がない場合は、サプリメントやドリンクの服用も二日酔いの軽減に役立つでしょう。
二日酔いから早期復活できる、おすすめの朝・昼ごはんとは?
二日酔いには、肝臓の働きをサポートできる、栄養素を意識した食事がおすすめです。 ○シジミのみそ汁 タウリン、オルニチン、ミネラル(亜鉛、鉄)、コリン、ナトリウム、水分を一度にとることが可能です。シジミに含まれるタウリンやオルニチンは、肝機能を活性化させ解毒を助けます。また、ミネラルは代謝をサポートし、みそのナトリウムは脱水症状を緩和。コリンは肝臓に入ったアルコールが脂肪となって蓄積するのを防ぎ、アルコールを早く体外に排出させる効果が期待できます。 合わせる具材には、豆腐やネギがおすすめです。豆腐のたんぱく質が細胞の修復を助けます。ネギのビタミンKは血流を適切に保ち、抗炎症効果があるので、飲酒後の血液循環の乱れを改善し、頭痛などの二日酔い症状の回復を早めてくれます。温かいみそ汁は、肝臓の血流を良くし、アルコールの代謝を促進させるでしょう。 ○焼き鮭と白ごはん タウリン、オメガ3脂肪酸、たんぱく質、ビタミンD、炭水化物をとることができます。シャケのタウリンとたんぱく質は代謝を促進し、オメガ3は炎症を抑えて胃に優しく、エネルギー補給に最適な食事です。 ビタミンDには、アルコール摂取による体内の炎症軽減の効果が。炭水化物はアルコール代謝の際のエネルギー消費による血糖値低下に起因する頭痛や、疲労感を軽減してくれる効果が見込めます。 ○トーストとアボカド アボカドのビタミンEやビタミンB群、脂質と、トーストの炭水化物が役立ちます。ビタミンEには抗酸化作用があり、肝臓の回復を助けます。ビタミンB群は代謝を促進し、脂質は多くがオレイン酸と呼ばれる一価不飽和脂肪酸のため、ゆっくりと消化・吸収されることで、飲酒で消耗した体に持続的にエネルギーを供給してくれることが期待できます。
二日酔いだけではない、タウリンのさまざまな効果
二日酔いに効果があるタウリンは、体のあらゆるところに存在するアミノ酸。実は、ほかにもいろいろな働きをしてくれます。 近年は、風邪やインフルエンザ感染症時の疲労などの症状を軽減してくれることがわかっています。また、筋肉の疲労回復、血圧やコレステロールの低下などの効果も。 二日酔いにおける効果的な事前の対策、回復を早める方法を紹介しました。ほかにも、飲酒翌日は肝臓のアルコール代謝をサポートする時間を確保する、宴会中のおつまみも栄養素を考えたチョイスをするなども意識したいところです。 そして何より、適度な飲酒を心がけることが大切です。
Hint-Pot編集部