お酒の飲みすぎで下痢 ありがちな勘違いとは 二日酔い対策を医師が解説
忘年会や新年会など、宴会シーズンです。「今年も一年頑張った!」と開放的な気分になり、つい飲みすぎて翌朝後悔……という人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、栄養管理のエキスパートでもある麻酔科医の谷口英喜先生に、医師も実際に取り入れている効果的な二日酔い対策について伺いました。 【写真】急性アルコール中毒になったら…回復体位で気道をしっかりと確保することが大切 ◇ ◇ ◇
なぜ二日酔いになるの?
二日酔いとは、アルコールを過剰に摂取したのち、翌日に頭痛や吐き気、胸焼けなどの症状が現れる一時的な状態を指します。アルコールの分解過程で生じる有害物質・アセトアルデヒドが蓄積してしまうことが主な原因だとされています。 また、アルコールの持つ利尿作用により、体内の水分不足や電解質不足も重なるため、痛みや不快な症状を引き起こし、いわゆる二日酔いの状態になるのです。
肝臓でアルコールが分解されるときに生じる健康リスクとは?
摂取したアルコールは、大量の水と電解質を使い、肝臓で分解されます。肝臓で、まずはアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)という酵素によって有害なアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸に変化。最終的にエネルギーとして活用されるか、無害な形で体外に排出されていきます。 アルコールの利尿作用によりトイレの回数が増えて、尿とともにカリウムやナトリウムといった電解質が排出されてしまうことも、アルコール分解の効率を下げて、アセトアルデヒドの蓄積につながります。 過剰な飲酒時に下痢をしてしまう人もいるでしょう。よくある勘違いが、この下痢によってアセトアルデヒドが早く体外に排出されているというもの。 飲酒時の下痢は、アルコールで腸粘膜が刺激を受けているので、むしろ腸の水分吸収機能が低下してしまい、脱水を引き起こすリスクが生じます。脱水状態になると、アセトアルデヒドを分解するための水分が不足し、分解を遅らせてしまうのでご注意を。 肝臓でのアルコール分解には大量のエネルギーを消費するため、このプロセスで発生する活性酸素種(ROS)が肝細胞に大きな負担をかけたり、肝臓での脂肪代謝が低下して脂肪が蓄積しやすくなってしまったりといった弊害もあります。「お酒を飲むと太る」とされているのは、こうしたメカニズムが関連しているのです。