【どのハイブリッドが生き残る?】トヨタ方式/日産&ホンダ方式を比較 マイルドハイブリッドにも注目
売れ筋はトヨタ、日産、ホンダの3メーカーに集約
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎) editor:Taro Ueno(上野太朗) 【写真】プリウス、ノートなど【各メーカーのハイブリッド車を比較】 (183枚) 初代トヨタ・プリウスが世界初の量産ハイブリッドとして登場してから20年以上が経過した。 ハイブリッドは今では定番の環境技術になり、小型/普通乗用車に占める割合は38%に達する。売れ筋の小型/普通車については、ほとんどの車種でハイブリッドを選べるようになった。 価格の安い軽自動車などが採用するのは、主にマイルドハイブリッドだ。マツダも現時点で用意するのは、MX-30のマイルドタイプのみになる。登録台数の多い売れ筋のストロングハイブリッドは、トヨタのTHSII、日産のeパワー、ホンダのe:HEVに集約される。 このうち、トヨタのTHSIIは、エンジンとモーター駆動を併用する。日産のeパワーは、エンジンは発電機を作動させ、駆動は発電された電気を使ってモーターが担当する。ホンダのe:HEVも基本的な機能は日産と同様だが、高速道路の巡航などでは、エンジンがホイールを直接駆動する制御もおこなう。その方が効率が優れているからだ。 つまりeパワーの機能を上級化したのがe:HEVと考えればよい。このほか、三菱のエクリプス・クロスやアウトランダーのPHEVは、前後のモーターが駆動を担当して、なおかつ前輪を直接駆動する制御もおこなう。プラグイン(充電の可能な)ハイブリッドでもあるから、高度なシステムを備える。
トヨタのTHSIIはボディも軽く燃費が優れている
主力となるハイブリッド・システムを整理すると、エンジンとモーター駆動を併用するトヨタのTHSIIは、車種数も多く独立したカテゴリーとして確立されている。 もう一方のグループは、エンジンは主に発電機を作動させ、駆動はモーターがおこなう方式だ。eパワー、e:HEV、PHEVがそこに属する。果たしてどちらが生き残るのか。 エンジンが発電機を作動させ、駆動はモーターがおこなうタイプは、電気自動車のバッテリーをエンジン/燃料タンク/発電機に置き換えたと考えればよい。 エンジンは発電に専念できるから、効率の優れた回転域を重点的に使える。速度が低い場合など、エンジンを効率良く回転させることで余剰な電力が生じるが、それはバッテリーに蓄える。そうすればエンジンを停止させ、モーター駆動のみで走る距離を伸ばすことができる。 このように考えると、eパワーやe:HEVは燃費性能が優れていると考えられるが、実際はトヨタのTHSIIも優れた数値を達成している。 最新のコンパクトカー同士でWLTCモード燃費(2WD)を比べると、トヨタのヤリス・ハイブリッドは35.4~36km/L、日産のノートは28.4~29.5km/L、ホンダのフィットは27.2~29.4km/Lだ。ヤリスの数値が突出している。 トヨタではTHS方式に20年以上に実績があり、長年にわたり効率を追求してきた。ヤリスは車両重量も軽く、2WDは1050~1090kgだ。ノートの1190~1220kg、フィット・ハイブリッドの1180~1200kgに比べて100kg以上軽い。軽量なボディもヤリスの燃費数値を向上させた。 また、基本的に同じユニットを使うコンパクトSUVのヤリス・クロス・ハイブリッドは、2WDの車両重量が1160~1190kgだ。ノートやフィットに近い。それでもWLTCモード燃費は27.8~30.8km/Lだから、車両重量が同等でも、THSIIは燃費が優れていることになる。