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絶好調キリン「本搾り」 17年がかりの熱烈ファン獲得戦略実る

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日経クロストレンド

 キリンビールの缶チューハイ「本搾り」が、2020年1~6月に上半期としては過去最高となる約670万ケースを販売するなど好調だ。03年に登場したロングセラー製品は、香料や酸味料、糖類を使わずに果汁とお酒だけでつくる無添加製法を業界で初めてチューハイで実現したのが特徴。ストロング系でもない、居酒屋向けブランドでもないこの製品は今なぜ受けているのか。 【関連画像】ライム味をグラスに注いだところ、液色からたっぷりの果汁が含まれていることが分かる  「とんでもなく本搾りライムがおいしい」「本搾りライム、箱買いしてしまった」「ビールから離れて、めっきり本搾りライム派になったよ」――。2020年5月、果物の断面をアピールするようなパッケージに一新した本搾りのラインアップに、ライム味が加わった。ライム味は過去に期間限定で販売したことがあったが、今回初めて通年販売商品化した。市場に出回ると絶賛する声がTwitterに次々と投稿されたように、待ち望んでいたファンは少なくなったようだ。売り切れになった店舗も一部にあり、メーカーに直接「どこで買えるのか」という問い合わせも相次いだ。  キリンビールの数ある缶チューハイの中で、本搾りは独特のポジションにある。「キリン 氷結」「キリン・ザ・ストロング」のように積極的にテレビCMを展開しているわけではない。というのも、「本搾りを深く愛してくれるロイヤルユーザーの声を可視化し、その声によって新しいユーザーにブランドを知ってもらう戦略」(マーケティング部で本搾りブランドマネージャーを務める小野寺有紀氏)からだ。“熱量の高い”ユーザーをメインターゲットに据えた地道な努力を続け、着実にファンを増やすことにこだわり続けている。  ファンの裾野を地道に広げていく取り組みが年々実を結んでいく様子は、数字によく表れている。実は出荷実績で2ケタ増を8年連続で達成。累計販売数量も20億本を突破した。同社が本搾りファンに対してアンケート調査で聞いたところ、「飲み飽きない味だから」(82%)、「他のチューハイが甘ったるく感じられるから」(70%)、「クセになる味だから」(約45%)といった理由で継続飲用していると答えるファンが相次いだ。19年について1人が1回当たり買う本数を調べたところ、競合の多くの缶チューハイを本搾りが上回った。  徐々に本搾りを好きなファンが増え、それぞれが浮気せずにリピート買いしてくれる――。だからこそ、5年前のライム味を覚えており復活に心を躍らせる声が相次いだのだろう。 ●「メルシャンの流儀」が生み出した  本搾りを本搾りたらしめているのは、3つのポイントにある。「果実本来の味わいを実現する製法」「厳選した果汁などの素材」そして「果汁とお酒だけの無添加」――がそれだ。  実際に一口飲んでみると、特徴的で個性的な味わいに驚くはずだ。競合製品を飲み慣れている人にとっては、もしかしたら「酸っぱく」「渋い」ような印象を抱くかもしれない。ただ飲み慣れてくると、過度に甘くもなく自然な味わいが飲み飽きず、結果として様々な料理にも合わせやすいことに気づく。レモン味ならレモン、グレープフルーツ味ならグレープフルーツの果実味がしっかりと表現されている。  その理由は透明なグラスに注いでみればすぐ分かる。ジュースのようににごっており、よく見ると果肉が混じっている。しばらく放置しておくと果肉が徐々に底に沈んでいく様子を確かめられる。  果汁の配合割合は多い順に、オレンジ味が45%、ピンクグレープフルーツは29%、グレープフルーツは28%、ライムは13%、レモン味は12%。競合製品の多くは数%程度だ。高配合率ゆえに、わざわざ「おいしい飲み方“逆さ缶”」とパッケージに印字して、飲む前に缶を逆さにして果汁を混ぜることをメーカーとして推奨しているほどである。

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