保険、投資信託、株…「いらない投資」をしてない?ムダな金融商品を買わないための注意点をシニア投資コンサルタントが指摘
金融トラブルはシニア世代で多い
自分の想定と異なる商品を買ってしまっていた場合、後からトラブルになることもある。金融取引のトラブルはどの世代でも起こり得るが、特に多いのはシニア世代だという。金融機関から提案される金融商品やサービスが年々複雑な仕組みになっている一方で、シニア世代は金融リテラシーを身につけられる機会が少なかったことが背景にある。 「投資や運用には『難しい』『怖い』『素人がやるものではない』といったイメージを持つ人も少なくないでしょう。金融商品には株式、債券、保険だけでなくさまざまな種類があり、それらをすべて自分で調べて理解するのは至難の業です」 ◆セールス・営業員にとってシニアは重要な営業ターゲット また、金融機関の担当者であるセールス・営業員の人たちはあくまでも「販売のプロ」である。彼らにとって、数千万円という退職金やコツコツ貯めてきた貯蓄を持つシニア世代は重要な営業ターゲットである点も、シニア世代に金融トラブルが多い理由の1つだ。販売のプロである彼らは、商品の知識が不足している場合があったり、顧客のニーズに合致していない商品であっても販売成績のために販売しようとしたりすることがある。 「シニア世代の安定運用の意向と裏腹にハイリスクな投資に偏ってしまって、相場の下落で大損する。リスクは抑えていても運用コストの高い商品やサービスでジワジワと費用がかさんで資産を減らす。そんな提案がいまだにまかり通っています」 ◆信頼できる担当者を見つけることが大切 トラブルを引き起こしやすいシニア世代の資産運用。大切なのは、信頼できる担当者を見分けることだと西崎さんは話す。 担当者の提案が自分にとって適切かどうかは、一定の投資経験や提案の比較対象がなければわかりづらいが、例えば相場環境が大きく変わったとき、特に理由や根拠もなく「数か月後には相場が戻ります」、「様子を見ましょう」などと言うだけであったり、まとめて売買させようとしたりしていたら要注意だ。 投資のプロや投資に慣れている人ならば、景気や相場状況に応じて様子を見たり、複数回に分けて少しずつ売買するといったきめ細かな運用を行っている。 「丁寧な投資の仕方をきちんとアドバイスし、状況についてもわかりやすく説明してくれることが大切です。そうしてお客の金融リテラシーを向上させたり、実践的な資産運用・管理の方法を教えてくれる、もしくは自分の代わりに調べてくれるのが、信頼できる担当者の必要条件なのだと私は考えています」 ◆教えてくれたのは:シニア投資コンサルタント・西崎努さん にしざき・つとむ。大手証券会社の全国トップセールスとして活躍後、新規・既存の上場会社や不動産投資法人(REIT)の新規公開・公募増資等の株式引受業務に従事。2017年に独立し、リーファス株式会社を設立後、リタイア期前後や高齢期の投資家を中心に、金融商品の仕組み、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法を熟知した投資のアドバイスを行う。著書に『老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門』(アスコム)や『やってはいけない資産運用 金融機関のカモにならない60歳からの資産防衛術』(アスコム)など。