保険、投資信託、株…「いらない投資」をしてない?ムダな金融商品を買わないための注意点をシニア投資コンサルタントが指摘
金融機関に相談したうえできちんと金融商品を選んだにもかかわらず、自分の資産運用に漠然とした不安を抱えている人は多い。その理由の多くは、商品のリスクをきちんと把握しないまま、説明された商品のメリットや提案をうのみにして購入してしまっているためだ。「シニア世代にとって金融商品の9割はムダ」と話すのは、「やってはしけない資産運用 金融機関のカモにならない60歳からの資産防衛術」(アスコム)を上梓した、シニア投資コンサルタントで独立系フィナンシャルアドバイザーの西崎努さん。シニア世代の投資について詳しく話を伺った。 【写真】無駄な金融商品を買わないためのポイントを写真とともに紹介
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シニア世代は知らないうちに「いらない投資」をしている
シニア投資コンサルタントの西崎さんは、シニア世代の多くが「やらなくていい投資」をやってしまっていると話す。多くの人が「自分は変な商品には引っかからない、だまされない」と思っている一方で、本人が希望する運用と、実際に提案されて買った商品がズレていることが頻繁にあるためだ。 「どんなに『ちゃんと説明してもらった』と思っていても、肝心な部分の説明が不十分であることは珍しくありません」(西崎さん・以下同) ◆金融機関ですすめられて購入するのは失敗のもと 安定運用したいことを金融機関で伝えると、投資信託や保険商品をすすめられることが多いが、金融機関で購入した投資信託を見てみると、運用コストが非常に高いものばかりを購入していることが多々あるそうだ。 投資信託で長期分散投資をするという考え方が間違っているわけではないが、運用益だけでなくコストまで見なければ、不必要に高い運用コストを払っていたり、コストのほうが高くついてしまったりということもあり得る。 「金融機関ですすめられる投資信託がコスト高なのは、金融機関とネット証券の投資信託販売ランキング(もしくは純資産ランキング)を比較してみれば一目瞭然です。ネットで売れている投資信託のほうが、ずっとコストが低いことがわかります」 ◆保険商品にも注意が必要 保険商品も同様に注意が必要だ。保険は比較的、安定運用に適した商品ではあるものの、株式を中心に運用する変額保険であれば、「安定」した運用とは異なり、為替リスクのある外貨建て保険であれば、為替変動のリスクは許容しなければならない。 「外貨建て商品で安定運用なら債券投資など他の選択肢も考えられますし、保障を主目的とした金融商品である保険を使って運用することが非効率である可能性があります」 ◆金融機関は投資家からの手数料で利益を得ている こうしたギャップは、金融機関のビジネスの仕組みによって発生する。金融機関は基本的に、投資家が儲けたときではなく、投資家に商品を販売したときに手数料で利益を得ている。昨今では、顧客のニーズに応えるという名目でさまざまな商品が出ているが、実態は金融機関が手数料を新たに稼ぐための新商品であることが珍しくないそうだ。 「窓口の担当者も、こうした金融機関の都合によるビジネスの仕組みの中にいます。基本的に金融機関で資産運用の相談をする場合は、その相談相手はセールス・営業員と呼ばれる職種の人たちです。投資や運用のアドバイザーではありません」