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そこまでの作品なのか? 『ボヘミアン・ラプソディ』が席巻したゴールデン・グローブ賞

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The Guardian

【記者:Peter Bradshaw】  今年のゴールデン・グローブ賞(Golden Globe Awards)は、さまざまなミドル級レベルの受賞作および受賞者の集まりのように見えた。  まず言えるのは、ドラマ部門の作品賞と主演男優賞を受賞した『ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)』が、真の──そして控え目に言っても──驚きの勝者だったということだ。男優賞に輝いたラミ・マレック(Rami Malek)の前評判は高かった。マレックは、役者として非常に優れているだけではなく、業界でも一、二を争うナイスガイとして幅広く好かれている。  それとは逆の立場にいるのが、同作品の監督としてクレジットされてはいるが途中降板し、デクスター・フレッチャー(Dexter Fletcher)に交代したブライアン・シンガー(Bryan Singer)だ。シンガーは授賞式には招かれず、式の最中に彼の名前を挙げる関係者は一人もいなかった。 『ボヘミアン・ラプソディ』は、ノスタルジーを呼び覚ます感動作で、1970年代にクイーン(Queen)のフロントマンとしてスターの座に上り詰めたフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)へのトリビュート作品でもある。バンドは、1985年の「ライブ・エイド(Live Aid)」で圧倒的なパフォーマンスを見せる。映画ではクイーン人気の再燃につながったこのイベントを、マーキュリーの人生におけるクライマックスであるかのごとく描いている。それが、一種の生涯功績賞であり、両親との和解が実現した重要な出来事でもあり、そしてエイズウイルス(HIV)の感染者として生きることを受け入れた瞬間でもあると──。  マレックは圧巻だ。そのとてつもなくエネルギッシュで魅力的な演技は、普段のマーキュリーを快活で愛すべき人物のように見せるものだ。作品では、異性愛者的な甘い雰囲気が前面に出されている。これについては議論を挟む余地はほぼないだろう。マーキュリーの同性愛者としてのアイデンティティーは、当時流行していたグラムロック的な美にカムフラージュされ、やや薄められている。しかし、脚本にリアリティーが欠けているとは思わない。  クイーンの紹介映像としては確かに素晴らしいが、映画としては薄っぺらいとも言えなくもない作品を、マレックの演技は凌駕(りょうが)している。  だが、この愛すべきも映画としては今一つの作品が、『ビール・ストリートの恋人たち(If Beale Street Could Talk)』や『アリー/ スター誕生(A Star Is Born)』を押しのけて作品賞を受賞したのには非常に違和感がある。また、アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuaron)監督の『ROMA/ローマ(Roma)』が外国語映画賞部門に追いやられ、その上で『ボヘミアン・ラプソディ』が幅を利かせたことにも当惑させられた(キュアロンは順当に監督賞を受賞した)。

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