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南青山でスイーツになった福井の黄金色の特産 「香りが圧倒的にフルーティ」

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福井新聞ONLINE

 福井県南越前町河野地区を中心に栽培されている「黄金の梅」。約10年前から生産者と行政、民間企業が連携してブランド化を進め、製菓材料として需要が高まっている。独特の香りと酸味が特長で、都市圏の高級店で採用されるなど販路が広がっている。新規参入による生産拡大の動きも出始めている。 ⇒【最高賞受賞】福井の梅が入ったラーメン ■圧倒的な香り  「他のフルーツにはない圧倒的な香りと独特の酸味がある」。東京・南青山の洋菓子店「アン グラン」でシェフパティシエを務める昆布智成さん(38)=福井市出身=は、黄金の梅の魅力をこう語る。  数年前から、主に夏向けのケーキやアイスなど幅広く活用しており、女性を中心に人気が高いという。「福井の魅力として東京から発信していきたい」と、これからも使い続ける考えだ。  販路拡大の動きが活発になったのは2014年ごろから。製菓材料、資材卸のカリョー(本社福井市問屋町2丁目)が産地と連携したブランド化に乗り出した。加工施設を整備して製菓材料として広く供給できる体制を整え、県内外で販路を開拓していった。  また同社は小売り向けにもジャムなどを商品化。新珠製菓(本社越前市小松1丁目)もゼリーやバウムクーヘンなどを開発し、贈答用などとして販売している。 ■生産休止も検討  こういったブランド化が進んだのは約10年前、生産休止を検討した農家が県に相談したのがきっかけだった。  河野地区で中心的に生産を担っている浜野好己さん(70)は、約30年前から黄金の梅となる品種「新平太夫」を栽培し、梅干し用の塩漬けにして出荷していたが、他の品種に比べて単価が低いことから生産をやめようと県へ相談した。  県はフードコーディネーターに相談。フードコーディネーターはフルーティーな香りに注目し「製菓材料やジャムに向いている。栽培をやめてしまうのはもったいない」と販売方針を提案した。  浜野さんらは「黄金の梅」を商標登録して再起を図り、県は商談会を開くなどしてバックアップした。カリョーとの連携も決まり、県内外の有名菓子店や都市圏の高級レストランなどに広がっていった。 ■新規で参入  梅農家は高齢化が進んでいるが、産地では新規で生産に乗り出す動きも出ている。南越前町今庄地区でつるし柿を生産する杉休(さんきゅう)(本社同町二ツ屋)は昨年、高齢で引退する河野地区の農家からウメ畑を借り受け、新平太夫の木を70本植えた。収穫できるのは数年後になるが、三浦政勝社長(77)は「同じ町の特産品を作る者として力になれれば」と意気込む。生産は嶺南にも広がっている。  浜野さんは「一度は生産をやめようと思ったが、製菓材料としてここまで販路が広がるとは想像できなかった。これを励みにこれからも頑張りたい」と話している。  ■黄金の梅 福井梅の品種の一つ「新平太夫」で、樹上で完熟して落果したものを呼ぶ。実は黄色くなり、アンズや桃のような香りがする。収穫は6月下旬から7月上旬、木の下にネットを張り巡らせ、自然に落ちた実を拾い集める。近年の生産農家は20軒前後、出荷量は計約10トンという。

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