「普通の人々」はAIを受け入れる準備ができていない…グーグル元CEO、「AIの安全要件が必要」と主張(海外)
グーグル元CEOのエリック・シュミットは、AIが子どものアイデンティティと文化を形作る可能性があると述べた。 また、子どもの親友が将来「人間ではない」可能性があるとも述べた。 世界のテックリーダーはAIの安全基準を確立すべきだと彼は主張している。 グーグル(Google)の元CEO、エリック・シュミット(Eric Schmidt)は、AI(人工知能)が子どもたちの学び方を変え、彼らの文化と世界観を形作る可能性があると述べた。 彼は2024年11月下旬、母校のプリンストン大学で講演し、近刊の著書『Genesis:Artificial Intelligence, Hope, and the Human Spirit(創世記:人工知能、希望、そして人間の精神)』を宣伝した。これは、マイクロソフト(Microsoft)の元最高技術責任者でOpenAIアドバイザーであるクレイグ・マンディ(Craig Mundie)、アメリカの外交官だった故ヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)との共著だ。 シュミットは講演で聴衆に向かって、ほとんどの人はAIがもたらす可能性のある技術的進歩に対して準備ができていないようだと述べた。 「他の人々、つまり普通の人々──こう言ってはなんだが、あなた方はみな普通ではなく、何らかの点で特別だ──普通の人々は準備ができていないと断言できる。政府も、政府のプロセスも政策も、準備ができていない。AIの到来に対して何も準備ができていないのだ」 シュミットは何年も前から、アメリカ政府と軍に対してテクノロジーに関する助言を行ってきた。2016年には国防総省の諮問機関である国防イノベーション委員会(Defense Innovation Board)の議長を務め、2018年にはAIに関する国家安全保障委員会(US National Security Commission on Artificial Intelligence)の議長を務めた。 最近では、AI攻撃ドローンを開発するスタートアップ企業White Storkを設立した。4月にスタンフォード大学で行われた講演でシュミットは、ウクライナ戦争が自分を武器商人に変えたと語った。 AIに対する彼のビジョンと懸念は、戦場を超えた領域にまで広がっている。例えば、子どもの親友が将来「人間ではない」可能性があり、これが問題を引き起こすかもしれないと指摘している。 「何がルールなのだろうか」と彼は問いかけ、「たとえば、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)のような存在が代理の親として、あなたの子どもが何を学び、何を学ばないかを決めることが許されるのだろうか」と続けた。 だからこそ世界はAIの安全要件を設計すべきなのだと彼は主張する。 「人々の考え方を操作できるというのは強大な力となる。国家があなたの親友を操り、日常的に交流してアイデンティティや文化的価値観を形成していくとなると、国家による誤情報の拡散などは取るに足らない問題に思えるだろう」 彼はさらにこう続けた。 「AIが1つの国によって構築された場合──その国はできればアメリカであってほしいが──他のすべての文化はどうなるのだろうか。我々はその一つのAIで押し通すのだろうか」
Kenneth Niemeyer