<独占インタビュー>横浜DeNA、三浦大輔が語るピッチングの微調整力とは?
――その裏の読み合いは、キャッチャーのリードに任せるのですか? それともある程度、自分が考えて逆に若いキャッチャーをリードするのですか? 「そこは、ある程度、キャッチャーに任せないと、首をふり続けると、リズムが悪くなります。『相手のバッターは、こういう反応をしてるんだから、この球種ででいける!』と思ったときは、そのサインが出るまで首をふり続けますが、基本、僕はリズムが悪くなるのが嫌なんですよ」 ――そういう心理戦には、相当な集中力が必要になりますね。 「どちらかと言えば集中力はない方です(笑)。だから試合開始のぎりぎりまで、スイッチは入れません。雑談したり、直前までリラックスしています。何か自分の中での儀式があるわけじゃないのですが、ブルペンで試合前の投球練習が終わって、ベンチに入るとこでスイッチを入れますね。一度、(スイッチを)入れたら、交代と言われるまで、2時間半とか、3時間とか、その時間だけはずっと(スイッチ)オンで集中しています」 ――投球術を楽しんでいるようにも思えます。 「勝負どころで、なん球もファウルで粘られている間に、『ここで誘って、ここで1球見せて、乗ってこないのか、じゃあ、こう考えているんだろうから、これでどうだ』と、あれこれやるわけです。それは、しんどいけど、野球の醍醐味だと思うんです。想像力を働かせながらいろんなボールを使わなければ僕は勝てませんからね」 ――ワクワクするような対戦はありますか? 「今年は、まだ対戦がないんですが、同じ年の中日、小笠原との対決なんかそうですね。こういけばどうだ、ああいけばどうだと、向こうも考えていますから。そういう駆け引きは楽しいというか、野球の魅力では、ありますよね」 ――大人の野球ですね 「どうなんですか、僕にはそれしかできないっていうことです」 ――今年からは、兼任コーチです。2度のファーム落ちを通告されたときは、若い選手を教えて欲しいという首脳陣の狙いもあったのではありませんか? 「そういう話も含んで(2軍調整を)言われましたが、僕は選手ですからね。自分のやることをしっかりとやってからです。キャンプからそうでした。ただ、ファームではコーチの人数も限られているので、チームが遠征に行けば、居残り組のピッチャーを見たりノックをしたり、気がついたことを話したりもしていました。それ(若い人に知識を伝え育てる)もわかっていて、去年、コーチ兼任を引き受けたわけですからね」