異例のローマ皇帝マクリヌスとは何者だったのか、映画『グラディエーターII』で注目
「自分が犯した罪の報い」
マクリヌスを最も嫌っていたのは、失った権力をどうしても取り戻したいカラカラの家族だった。カラカラの伯母にあたるユリア・マエサは、14歳の孫エラガバルスが実はカラカラの非嫡出子で、本来であれば皇帝になるべきだといううわさを流した。 一部の兵士はその説に加えて、マエサの資金力も気に入っていた。兵士たちはすぐさまエラガバルスの支持に回り、218年5月、エラガバルスを皇帝に即位させた。 マクリヌスは支持を失い、その命も風前のともしびとなった。マエサとエラガバルスは進軍し、現在のトルコでアンティオキアの戦いが勃発。マクリヌスは敗北を喫した。 マクリヌスは逃亡したが、すぐに追い詰められ、殺害された。在位期間は1年余りだった。 地方の一族から帝国最強の男へ。マクリヌスの物語は、大多数の皇帝とは異なる場所から始まった。しかし、多くの皇帝と同様、暴力によって命を落としたのだった。
文=Parissa DJangi/訳=米井香織