「健康保険証」と「マイナ保険証」はどちらがお得? 来年の秋に向けてメリットとデメリットを解説
2024年よりマイナンバーカードによる健康保険利用(以降、マイナ保険証)を行うと、従来の健康保険証を使うよりも、医療機関や薬局での窓口負担が少なくなります。また、2024年の秋以降、従来の健康保険証は廃止とされていますが、マイナ保険証に登録している人はまだ国民の半数程度です。 このまま来年秋になって紙保険証が廃止されると、マイナ保険証を持たない人の窓口負担が増えるだけでなく、毎年わざわざ資格確認書(従来の保険証に変わるもの)を発行してもらう手間もかかります。本記事では、マイナ保険証のメリットとデメリットを解説します。
マイナ保険証がないとどうなる?
■毎年資格確認書の申請が必要になる マイナ保険証の登録をしていないと、従来の健康保険証が廃止された際には医療機関や薬局窓口でどの健康保険に加入しているかの資格確認ができません。このため窓口では、資格確認書が必要となります。 これは自動で送付されてくるものではなく、原則として本人が申請する必要があるものです。申請の手間がかかる上に、郵送の場合は手元に届くのに時間がかかってしまうので、必要なときにすぐ使用できない場合があります。 ■窓口で全額負担を求められる可能性がある マイナ保険証や資格確認書を窓口で提示できないと、かかった医療費全額の負担を求められる場合があります。政府は全額負担しないですむような対策を検討していますが、それでも支払いの際に時間がかかるなど、不安になることもあるでしょう。
マイナ保険証でできること
マイナ保険証がないと困ることを前述しましたが、ここではマイナ保険証でできることを整理します。 ■従来の保険証より窓口負担が安い 2024年1月からは、図表1のとおりマイナ保険証を使用すると窓口負担が安くなります(3割負担の場合)。 図表1
( )内は2023年4~12月までの診療報酬 厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用についてを基に著者作成 マイナ保険証を使うと、従来の健康保険証よりも初診と調剤の際の窓口負担が安くなります。 ■保険証の受け渡しが不要 マイナ保険証は、窓口に設置してある専用システムに本人が置いて手続きするので、受付にマイナカードを手渡す必要がありません。人の手を経由しないので、感染症の防止にもつながります。 ■診療・薬剤処方情報を医師や薬局に伝えられる 本人の同意があれば、マイナ保険証の機能を使って医師や薬局に対してこれまでの診療内容や薬剤の処方情報を正確に伝えられます。 ■マイナポータルから自身の医療情報が確認できる マイナポータルを利用すれば、自身の薬や特定健診などの情報が閲覧できます。 ■限度額以上の一時支払いが不要になる 従来の健康保険証で一定の限度額以上の負担をしないようにするには、別途、限度額適用認定証の発行を受ける必要があります。マイナ保険証では発行申請をする必要がないので、手続きをすることなく限度額のみの支払いが可能です。 ■確定申告の医療費控除手続きが楽になる マイナ保険証を利用すれば、確定申告の際に医療費控除のデータを引用できるので手続きが簡単です。控除に必要な情報は他にもありますが、大部分の情報が反映されるため、かかった医療費等の集計が容易になります。 ■健康保険証の切り替えが簡単になる 就職や退職しても、その都度、健康保険証を返納して新たに取得する必要がなくなります。マイナ保険証があれば、健康保険制度が変更になっても同じカードをかざすだけで使えます。