投票日が1週間早ければ「賛成多数」になっていた? 大阪都構想の住民投票、維新の敗因を分析
2015年に続き、またしても僅差での「否決」に終わった大阪都構想の住民投票。 2日の『ABEMA Prime』では、ABCテレビとともに情勢の分析に当たっていたJX通信社の米重克洋氏、日本維新の会の総務会長を務める東徹参議院議員を招き、維新はなぜ敗れたのか、話を聞いた。 【映像】維新の会・東議員「相手が感情的に訴えるのが上手だった」最後に反対派増えたワケ
■「大阪市」への愛着を上回るものを提示できず?
情勢調査によれば、当初は“賛成”優位で進んでいた選挙戦だったものの、直前の1週間で“反対”が急上昇、“賛成”を逆転していた。 米重氏は「10月12日の告示の前段階から、市民の関心が高まるにつれて反対が増えていた。一方、賛成はなかなか増えず、むしろ減っているくらいの状況だった」と振り返る。
「“コストがかかるのではないか”、“区名、区割りが変わると何かと不便なのではないか”など、みんなが住民サービスについて漠然とした不安を抱いていた中で、最後に“実は218億余計にかかるらしいよ”という報道がドーンと出たことで、不安の“枯れ草の山”みたいなものに着火してしまったような感じがした。投票には行く予定だが、態度を決めかねていた有権者が10%近くいたが、その半分以上が最後の一週間で反対に舵を切った。調査をもとに相対得票率を読み直すと、0.2%差という結果だったので、仮に住民投票が1週間前に行われていたとすれば、おそらく10万票前後の差で賛成多数となっていた可能性が高い。そのくらい、直前1週間で数万票が動いたと言えると思う」。
その上で、「反対派は“大阪市がなくなる日”みたいな、かっこいいビジュアルのものを流すなど、非常に感情に訴える部分があったと思う。関西学院大学の善教将大先生の先行研究でも、長く住んでいる人ほど反対しやすいという傾向があることがわかっている。この愛着の部分を上回るメリットを提示したり、ないしは“ワン大阪”的な情緒的な概念で納得を得たりすることができれば良かった」と分析した。
また、東氏は「これは民意だということで、我々としてもしっかりと受け止めなければならない」とした上で、次のように“敗因分析”する。 「まず大阪府・大阪市という大きな役所の仕組みを変えるということをご理解いただくのは非常に難しかった。次に毎日新聞が報じた、コストが218億円かかるという、この数字が一人歩きをしていった。そして、敬老パスがなくなる、水道料金が上がる、住民税が上がる、といったデマが浸透してしまい、“それは違いますよ”と説明するのにものすごい労力を費やすことになった。最後に、大阪市を無くすということではなく、大阪市と大阪府を一つにするという方が正確だったが、やはり“大阪市が無くなる、大阪市が無くなる”と聞けば、みんな“え?どうなるの?”と思ってしまう。この有権者の感情に訴えるという点で、相手は上手だったなと思う。市職員の厚遇問題やヤミ専従問題、いっぱり建物を作って税金を無駄遣いしたことなどは、やはり忘れられてしまう。こういったところにやられたと思う」。