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平松宏之──人間とは何か、人生とは何か【GQ JAPAN連載特集:希望へ、伝言】

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GQ JAPAN

──先の見えない日々ですが、それでも前向きに生きるためのメッセージをいただきたく存じます。GQ読者へ、自分へ、家族へ、日本へ、世界へ……メッセージの対象はだれでも構いません。

2020年という新しい年を迎え、それから急転直下、世界中が未曽有のウイルスとの闘いを強いられることになるなど、誰が想像したでしょうか。もちろん専門家は数年前より未知の感染症への危機に警鐘を鳴らしていましたが、我々はそれを全く自分のこととして捉えることもなく普通に生活を送り続けてきました。人、物、金、すべてがグローバルなものとなり、豊かさを謳歌して、さらなる豊かさを目指す日々……それが一転、ウイルスの脅威にさらされ、私たちは一気に別世界に連れていかれました。 外出制限を強いられる毎日を送る中、あらためて今まで当たり前であった日々の営みの尊さを痛感し、感謝の思いが沸き上がります。スタッフと気持ちをひとつに仕事に没頭できていたこと、家族、友人との交流、趣味に向き合う時間、芸術に触れて感動する日々、すべてがとても貴重な時間であったと思い起こされます。 先日BSプレミアムで英国ロイヤルオペラ「運命の力」を見る機会がありました。ヴェルディの素晴らしい音楽、今世紀最高のオペラ歌手といわれる歌手たちの素晴らしい舞台……、コヴェントガーデンの劇場の空気感を思い出しながら、これを生で見て、聞くことができたならどんなに素晴らしいだろうと思いながらその世界に引き込まれ、とても充実した時間を過ごしました。「人」の持つパワー、エネルギーに感動したひと時でした。 先の見えない日々ですが、私たちは今、人間に与えられた知性と理性をもってこの危機を乗り越えていくことができるかが問われています。様々な困難が待ち受け、「人」の持っている悲しい側面にも向き合わなくてはならない中、「人とは何か」ということが強く問われてくると感じています。グローバルでスピードの速い世界から、ここで一度立ち止まり、あらためて「人生とは何か」を見つめることを求められています。それぞれの置かれている立場で「今を生きる」ことにどれだけ真剣に向き合えるか、これこそが今後の私たちの未来を決めるといっても過言ではないと思っています。 PROFILE 平松宏之 1952年6月生まれ。神奈川県横浜市出身。高校時代フランス文化に憧れ、卒業後料理の道を目指し、1978年渡仏。帰国後、東京・西麻布に「ひらまつ亭」開業。1994年、株式会社ひらまつを設立。2010年に東京証券取引所市場第1部に上場を果たすなど、世界に類をみないレストランブランディングカンパニーをつくりあげる。2001年にパリに出店したレストランにて日本人オーナーシェフとして初めて「ミシュランフランス」の1つ星を獲得。2016年、フランス共和国よりレジョン・ド・ヌール勲章を受章。現在は、株式会社ひらまつ総合研究所の代表取締役として、料理界での活躍を目指す後進の教育にあたる。

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