美しい池、取り戻したい 丹生大師境内 書教室などの有志ら大掃除 三重・多気
水草が大繁殖 5年前からこつこつ
丹生大師として親しまれる三重県多気郡多気町丹生の神宮寺(岡本祐範住職)で19日午後1時半から、有志たちが境内の池の掃除を行った。水草が大繁殖しており、5年ほど前から定期的に実施している。昨年まで3年ほどかけた西側半分は水面(みなも)に山門の姿がくっきり映るほど美しくなった。今年は東側に着手し、美しい池を取り戻そうと奮闘している。今年中にあと2、3回行う予定。
西側は完了、もう半分に着手
池は約560平方メートルあり、スイレンが美しいことで知られ、参拝者や写真愛好家たちを楽しませている。しかし、5年ほど前から外来生物の水草・オオカナダモが増殖し、コイが泳ぎにくくなるなどしている。 岡本祐真副住職(49)が5年前に掃除を試み、池に入って撮影したスイレンの写真をSNSに投稿したところ、これを見た副住職の友人で、同寺でヨガの講座を開いていた川竹美奈さん(52)=大台町菅合=が「私も池に入ってみたい」と掃除することになった。 同寺で書などの教室を開いている人たちなど「丹生大師が好きな人たち」が集まって池の掃除が始まり、今では毎年の恒例行事となった。集まる有志はその時々で違うが、それぞれが感謝の気持ちで作業に当たっているという。 昨年までは西側の池を中心に行っており、水面に山門の姿が映る美しい池が戻った。 今回は、大きさの関係で重機も入ることができず、西側より泥などが多く沈殿している東側に着手することにした。 この日は川竹さんをはじめ、同寺で〝幸座(こうざ)〟を開いている「己書(おのれしょ)わ楽(らく)や道場」の町谷靖子師範(45)=鈴鹿市=など6人が参加。美しくなった西側の池との感触の違いを踏み締め、東側で懸命にごみやオオカナダモを取り除いた。作業中も近くにサギがやってくるなど自然を感じながらそれぞれ熱中していた。 川竹さんは「すごく楽しい。景色が良くなって訪れる人が楽しんでくれたらうれしい。こっち(東側)もきれいにしたら、また新しい景色が見られる。やっていると、お寺をいつもきれいにしてくださっているのも当たり前じゃないとよく分かります。いろんなご縁で皆さんが来てくれています」と笑顔で話していた。 初参加の大杉谷自然学校職員・井元俊介さん(30)=大台町岩井=は「何年か続けると西側のようにきれいになると思うと驚きです。きれいになって、またいろんな生き物が来るようになったら楽しい」と話した。 町谷さんは「池に入ったからこそ自然が守られてきていると分かりました。この辺にしかいない生き物などをゆっくり見られる場所。守っていきたいお寺です」と話した。 祐真副住職は「ありがたいです。いろんな人たちのおかげで、また来年、きれいな花が咲きます」とほほ笑んだ。