能登豪雨の被災地で1つ星シェフが炊き出し「生まれ育った町への恩返し」
■避難所に毎日、炊き出し 住民「最高です」
清掃作業がいち段落した後、冨成さんが向かったのは町内の避難所です。 冨成さん 「きょうは塩サバの炭火焼きと肉じゃがと白ご飯ですね」 避難所の人たちのため、炊き出しに汗を流します。 冨成さんの本職は2021年に「ミシュランガイド北陸」で一つ星を獲得した料理人。 特にこだわっていたのは今回氾濫した町野川でとれる食材を利用した懐石料理でした。 そんな冨成さんが作る炊き出しには、料理ができる前から行列ができていました。 避難所の住民 「おいしいですよ。おなかすいてるもんで余計おいしい」 「最高です」 温かい料理で心も温まり、避難所には笑顔があふれます。 しかし、今回の大雨被害は住民に暗い影を落としています。
■生まれ育った町への恩返し
柳田尚利さん(51) 「(Q.雨の被害は大丈夫でしたか?)車が水没しました」 避難所で暮らす柳田さんは大雨当日、七尾市に買い物に出かけていて難を逃れましたが、妻の仕事場が濁流にのみ込まれ、車が水没。車内は泥だらけになってしまいました。 外出していた柳田さん親子も土砂崩れで避難所に戻ってくることができませんでした。 柳田さん 「月曜日の昼には戻ってきた。前日の夜ぐらいに孤立が解消した」 そんな住民たちの支えになっている炊き出し。冨成さんは能登半島地震が発生した直後も炊き出しをしていました。当時の取材にも自宅が半壊する被害を受ける中で炊き出しをする冨成さんの姿が映っていました。 冨成さん 「みなさんの元気のおかげで僕も続けられるのでありがたいですね。『食べることの喜びを提供したい』というのもあるが、『元気だった』『大丈夫だった』という話をしているのを見ていると、こういう場はすごく大事だなと改めて思います」 毎日欠かさず、町内の避難所へおよそ150食分の炊き出しを昼と夜の2回行っています。ボランティアのコーディネートに炊き出し。冨成さんがここまでする理由は、生まれ育った町への恩返しでした。 冨成さん 「この町の地区のみなさんが親戚みたいなものなんです。小さいころからお世話になって、その親戚みたいなおじさん、おばちゃんたちが困っているのを見ると、やっぱり僕としては恩返ししたいので今は動いている」 震災前から改築中だった店舗は工事がストップし、半壊した自宅も手つかずのままです。冨成さんは、町の復興のために自身のことは後回しにしているといいます。 震災直後から、妻の実家で暮らす家族とも離れて生活しています。定期的に会ったり、毎日電話で会話したりしているといいますが…。 冨成さん 「離れ離れはさみしいが、この状況で子どもたちの幸せとかも考えると、運動もできないし勉強もできない環境にあるので。こっちが復興して店も再建できた時、また子どもたちと妻を呼び戻してこっちで頑張りたいなと思っています」 (「グッド!モーニング」2024年9月27日放送分より)
テレビ朝日