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【ビジネスの極意】名門会社を失った、40代で働き盛りだった三代目の失敗から学ぶこと

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サライ.jp

オーナー社長の後継者は世襲制となっている会社も多いだろう。だが、その社長にリーダーシップがなかったらどうなるか? リーダーシップとマネジメントに悩む、すべてのビジネスパーソンのためのノウハウサイト「識学式リーダーシップ塾」から、会社にとって重要なオーナー社長のリーダーシップについて知ろう。 * * *

優柔不断のため会社を失った三代目

上場していない中小・中堅企業にとって、オーナー社長の後継者は、社長の親族から選ばれるのが普通です。そのため、創業者から数えて、子供(二代目)や、孫(三代目)にあたる社長も珍しくありません。 そのような歴史ある名門企業であっても、常に経営がうまくいくとは限りません。社長になった二代目や三代目が、トップに必要なリーダーシップに欠けていた場合、しばしば、深刻な事態に陥ります。 育ちは良いが、優柔不断でコミュニケーション能力に乏しい三代目が、自分の会社を失った話を紹介いたしましょう。

業界の名門-S社の成長と発展

S社は、昭和20年代に創業された老舗の物流会社です。カリスマ的な魅力を持った初代の創業社長が会社の基盤を作り、有能な番頭格の社員を何人も育てました。 創業者の下で、親と一緒に苦労しながら会社を大きくしてきた二代目社長には、創業者のような特別なカリスマ性はありませんでした。しかし、有能な番頭たちをうまく使いこなすことができました。 やがて、70年代から80年代にかけて、S社の売上は伸びていきました。業績は順調でしたが、今度は、人手不足に悩まされるようになります。 人手不足を解消するため、有能な番頭の一人が、自動化の進んだ革新的な物流センターを構想します。しかし、その実現には、数十億円の新規借り入れを起こす必要がありました。 中堅企業であるS社にとっては、社運を賭けた大型投資であり、失敗したら倒産につながります。二代目社長は、夜も眠れないほど悩みましたが、有能でやる気のある番頭のアイディアにかけて見ようと決断しました。 S社は、銀行との困難な交渉のすえ必要資金を調達すると、湾岸地域に1千坪の土地を購入し、革新的な物流センターを開業しました。大幅に自動化、省力化を実現した新物流センターは、業界全体の話題となり、見学者が次々に訪れるほどでした。 新物流センターの開業とともに、S社の業績も急拡大します。バブル経済の追い風を受けて、平成になる頃には、年商100億円、経常利益10億円、従業員(パート・アルバイト含む)1千人を超える立派な大企業になりました。 ここまで成長すれば、十分にIPO(株式の新規上場)できる規模です。実際、大手の証券会社が、熱心にIPOを勧めてきました。 しかし、二代目の社長も、会社を大きく成長させた有能な番頭たちも、物流についてはプロでしたが、IPOの意義を理解できませんでした。 IPOによって、顔の見えない株主が増えて、毎期、株主総会を開催したり、世間の投資家に向けて決算発表をすることを面倒なことと感じました。そのため、度重なる証券会社の働きかけを断って、非上場の方針で進みました。 今思えば、バブル期に株式上場していれば、十億円単位の資金調達ができ、強固な財務体質を築くことができたことでしょう。 しかし、面倒な上場準備を進めて株式市場に上場するより、長年の取引関係にある大手銀行からの融資でやりくりする方が、経営陣にとって楽でした。 大きな黒字決算が続いていましたから、銀行は、「もっと借りてください」と融資の営業に来ます。銀行が必要以上に貸そうとするので、S社に資金繰りの苦労はありませんでした。

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