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「モデルマイノリティ」という存在。黒人差別に知らずに日本の私たちも“加担”している現実

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BUSINESS INSIDER JAPAN

アジア系に存在する「竹の天井」

アメリカ社会で成功、活躍しているアジア人、モデルマイノリティは、アジアから労働者層が移民しにくい中で、1965年の移民法改正によって生み出されたたものだ 。 アジア系アメリカ人の中には、世間の求めるモデルマイノリティ像に自分が当てはまらないことから悩み、自殺する人も少なくない 。 社会に出て成功した人たちも、女性が直面する「ガラスの天井」ならぬ「竹の天井」があると言われている。非常に成功していると言われるアジア系アメリカ人でも、企業や組織のトップになる人は男性でも少ない。女性のアジア系アメリカ人だとさらに少なくなる 。 フォーチュン500社のうち、77.2%の企業はアジア系アメリカ人が取締役レベルにいない。そして500社の取締役のうち、アジア系アメリカ人は2.6%しか占めていない。 私が受講している人種のクラスで、白人のクラスメイトがモデルマイノリティについてこういう見方を示した。 「アジア人は自分たち白人の地位を脅かさないが、マイノリティの手本として、よく働き、学び、マイノリティでも努力すれば活躍できることを示すことで、逆に黒人たちの努力が足りないことを示している」 今の人種ヒエラルキーで、アジア人は比較的良い地位にいるように見えるが、それは結局、白人優越主義の中で“生かされている”状態とみることもできる。「ハードワークで成功した」と思っている人の存在は、結果的に黒人の抑圧に利用されることになる。 冒頭に述べたセーラームーンや広告に登場する白人の多さは、私たちが無意識に「白人」を最も理想的な「人種」と考えている現れではないだろうか。それを受容し賞賛している私たちは無自覚に「白人優越主義」を強化し、「モデルマイノリティ」として振る舞おうとする。そのこと自体が黒人差別だと私は考える。 今私たちが何もしないことは、フロイド氏が白人警官に首を押さえつけられて路上で殺されたとき、見張りをしていたアジア系警官がしていることと同じことかもしれない。 白人優越社会の中で「生かされて」きたアジア系としての日本人として、私たちには今何ができるのか、改めて考えるときではないかと思う。人種は「社会的につくられたもの」であって、私たちの意識や考えが変われば社会は変わるからだ。 (文・鎌田華乃子) 鎌田華乃子:11年間の会社員生活で社会問題解決のための市民社会の重要性を痛感しハーバード大学ケネディスクールに留学、行政学修士のプログラムを修了。卒業後ニューヨークの地域組織でさまざま市民参加の様々な形を学んだ後、2013年帰国。2014年コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンを立ち上げ、ワークショップやコーチングを全国で行った。現在はピッツバーグ大学社会学部にて博士課程在籍中。

鎌田華乃子

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