これで仕事も捗る? テレワーク環境改善に“通話本職”アイテムをチェック!
■「通話が本職!」なアイテムでテレワーク環境をより快適に 時代はテレワーク! いつか現在の状況がある程度収束したとしても、すでにテレワークによる効率化を体験した上で「じゃあここからは前の通り普通に出社、リアルで会議ってことで」と、以前のワークスタイルに簡単に戻れるかというと、業種にもよるだろうが「戻りたくないし戻したくない」、そうなることも多々あるだろう。 通話向け「ヘッドセット」導入で“出来る感”もアップ!? 今後は従来型とテレワークのハイブリッドあたりが主流になってくるかもしれない。ということは、「テレワーク環境快適化」への積極投資をいま行っても、それが無駄になってしまうことはないと見込める。 「テレワーク環境快適化」といっても、デスクや椅子などワークスペースの改善など様々な方向があるが、 “オーディオ” 情報をメインとした当連載では、「テレワーク」の音環境の改善、リモート会議等における「通話」環境の快適化に注目!「通話が本職」的なオーディオアイテムを紹介していこう。具体的には「ヘッドセット」や「会議用スピーカーフォン」などだ。 ■鍵は「お互いの」声の聞き取りやすさ!=マイク大切! さてまずはテレワーク環境の要件を確認。「通話環境の改善」って具体的にはどういうことか? 色々あるだろうがここでは、「お互いの言葉をしっかり聞き取れることこそが快適なコミュニケーションの土台」として考えていこう。 まず相手から届いてくる声を明瞭に再生できる環境。これはオーディオ趣味の皆様であれば簡単に用意できるだろう。すでにいくらでもお手元にあるであろう、イヤホンやヘッドホン、スピーカー。趣味のオーディオで用いられるそれらは、通話用としては十分どころか、過剰なほどに高音質だ。それらを流用してもぜんぜん問題ない。 対して見落としがちなのは、「自分の声を相手に明瞭に届ける環境」の方だ。自分は相手の声を明瞭に聞き取れても、自分の声も相手に明瞭に聞き取ってもらえなければ、円滑なコミュニケーションは成立しない。双方向にお互いどちらも、相手の声をしっかり聞き取れないとだめなのだ。 つまり、通話アイテムのマイク部分、大切! もちろん、例えば完全ワイヤレスイヤホンを筆頭に、スマホでの利用を前提としたイヤホンやヘッドホンには通話用マイクも搭載されている。様々な技術が投入されたそのマイクの性能は高く、不満を感じることは少ないだろう。 しかし! 今回紹介する「通話本職アイテム」たちは、本職なだけに、その “さらに上” をいくマイク性能を持っているのだ。なかでも筆頭といえるのが「ヘッドセット」、まずはそのポイントを紹介しよう。 ■やっぱり本命! な「ヘッドセット」って何? 通話本職アイテムのなかでも、多くの方にとってなじみやすそうな本命は、やはり「ヘッドセット」だろう。すごく大まかに言えば「通話用のマイクとイヤホンやヘッドホンを一体化したアイテム」だ。 そう言われると「いやだから普通の完全ワイヤレスイヤホンとかだってマイク搭載のイヤホンでしょ?」となるかもしれない。だが両者は成り立ちからして異なる。 普通のイヤホンは、音楽再生用イヤホンに通話用マイク “も” 搭載したもの。対してヘッドセットは、通話用のマイクと通話用のイヤホンやヘッドホンを一体化したもの。すべての要素が「通話のため」に設計されている、通話に全振りなアイテムだ。 それどころか、ヘッドセットはそもそも「ヘッドセットマイク」という装着型マイクが先に在り、それと通話用のイヤホンやヘッドホンを一体化した流れでヘッドセットと呼ばれていたりする。初めにマイクありきなのだ。そこらへんの雰囲気は放送業務などに向けたガチ機材、「アシダ音響のヘッドセット」を眺めてみるとわかりやすいかもしれない。 なのでヘッドセットのマイク部分は強い! もう見た目でわかるほどに強い! ヘッドセットは口元に向かって伸ばした「マイクブームアーム」というパーツの先端にマイクを搭載した形が多い。マイクの位置と方向を口元に対して最適化するための形だ。そのおかげで周囲の余計な音はあまり拾わず、話者の声はしっかり拾いやすい。 対して特に完全ワイヤレスイヤホンのマイク位置は、スティック型といった例外はあるものの、主には耳の中に収まっているイヤホン本体のどこかだ。口元から遠く、また口元にマイクを向けるのも難しい。その分マイクが音声以外の音も多く拾うのだが、拾った音のうち周囲の騒音などをデジタル処理で低減したりして声を聞きやすくなるように工夫されていて、十分実用的な聞き取りやすさは確保されている。 しかし、ヘッドセットならそもそもマイク位置が最適化されていて、声中心にしっかりと収音でき、その上に完全ワイヤレスイヤホン等と同じように処理技術も重ねて用いることができる! 魔法使いキャラにいくら身体強化バフをかけても、戦士キャラにさらに身体強化のバフをかけたらそれには敵わないように、「音声処理技術云々以前にそもそもマイクが強い」ヘッドセットの優位は絶大と言える。 また細かな利便性の部分においても、マイクミュートの物理スイッチが用意されている製品が多いのは地味に便利。リモート会議アプリのミュートボタンよりもさっと操作できる。 さて、ヘッドセットにもいくつかのタイプがある。ここでは以下3つに分類した。 ●片耳イヤホン型 ●ヘッドホン+マイクアーム型 ●左右バンド接続イヤホン型それでは次から、各タイプごとの特徴を見ていこう。 ヘッドセット:片耳イヤホン型 片耳だけに装着するイヤホンを口元側に伸ばしたような形にしてマイクを口元に寄せてあるタイプ。現在はBluetoothワイヤレスが基本。 オーディオ趣味な我々の中には、「片耳」「モノラル」というところに違和感を覚える方も少なからずかもしれない。というか筆者自身もそうだ。だが、利用時の意識をイヤホン通話ではなくスマホ本体での通話に重ねれば、相手の声が片耳だけから聞こえてくるのも不自然ではないのかもしれない。まあここは個人の感じ方や好み次第だ。 片耳スタイルの特徴としては、「良くも悪くも自分の周囲の音も聞こえてくる」「さっと着け外ししやすい」「見た目がゴツくない」などだろうか。そのあたりも考えに入れて検討してみてほしい。 なお完全ワイヤレスイヤホンのように頻繁に世代交代する製品ではないためか、充電USB端子の主流はまだmicro B。そこは悩ましいところだ。 ヘッドセット:ヘッドホン+マイクアーム型 ヘッドセットと言われたらこの形を思い浮かべる人が多そうな、いちばん典型的な形かもしれない。ヘッドホン+これぞヘッドセット! という感じのマイクブームアームという形だ。いわゆる「ゲーミングヘッドセット」も、このタイプを元にゲーミングに最適化したスタイルの製品が多い。 このタイプの強みとしては「ヘッドホン型はイヤホン的な形状よりも装着がしっかりしているので、十分な長さのマイクアームを採用しやすい」というところだろうか。 イヤホン型からマイクアームをぐっと伸ばしたら、重量バランスがおかしくなって装着が安定しなくなりそうだが、ヘッドホン型ならその心配はない。なのでこのタイプのヘッドセットの多くは、本当に口元まで近くまで伸びる万全のマイクアームが搭載されている。 弱点としては……リモート会議用としては見た目ゴツすぎ? ヘッドセット:左右バンド接続イヤホン型 ひと言で言い表すのが難しいのだが、頭の後ろや首の上にバンドを回して装着するあのタイプ。完全ワイヤレスイヤホンが主流になる以前の、左右ワイヤレスではないワイヤレスイヤホン的な形を想像してもらうと近いかも。バンド部分を頭の後ろに回すタイプと肩の上に乗せるタイプがある。 このタイプの特徴としては、ヘッドホン型のものほどではないにせよ、製品自体の装着安定性が高いおかげか、しっかりとしたマイクアームを装備しやすいことだろうか。それでいて見た目的にはヘッドホン型ほどはゴツくない。 また完全ワイヤレスイヤホンと比べて連続使用時間が長めの製品も多いので、長時間の会議が連続するような場合も安心感がある。 肩乗せといえば、肩乗せスタイルのネックスピーカーをベースに、マイクの強化等で通話本職アイテムに仕上げた製品というのが出てきたら面白くなりそう。期待しておきたい。 ■「ヘッドセット、無線か有線か」問題 さて、ヘッドセット周りについては最後に「無線か有線か問題」にも触れておこう。それぞれの長所短所は以下のような感じ。 ●無線:身軽さ! バッテリー駆動時間……遅延…… ●有線:完全に無線の逆 身軽さとバッテリー駆動時間という点については、たいした説明はいらないだろう。無線なら、ミュートはお忘れなくだが、ちょっとした離席でいちいち外す必要はない。代わりに、午前から夕方まで一日ずっとリモート会議! みたいな場面も想定されるなら、バッテリー駆動時間が長い製品を選んでおく必要がある。 残るは「遅延」。「ワイヤレスは音の遅延があるから音ゲーとかには厳しい」とか言われている、あの「遅延」問題だ。 Bluetoothによる音声のワイヤレス伝送では、0.2秒とか0.3秒とかくらいの遅延は普通に起きるものである。それだけなら「0.2秒とか0.3秒ならそんな気にならなくない?」と思うかもしれないが、もしも自分も相手もBluetoothだったら? 素人考えではあるがここは「遅延が単純に足し算される恐れもある」と考えておこう。 さらにリモート会議システムだって「リモート=遠隔」なんだから、その間の伝送や処理による遅延が起きる。これは0.2秒から0.5秒くらいのようだ。 つまりすべて足し算すると、1秒もの遅延が発生する恐れがある!これはもう「_あれあれ?_声が_遅れて_聞こえるよ?」レベル! そのレベルの遅延となれば、お互いのしゃべり出すタイミング等をうまく察知できずに話し出しが重なってしまったりという事態が起きやすくなる、なんてことも容易に想像できるだろう。 そうはいっても、有線だとケーブルがあるために、動きが制限されてしまうという問題も。当面は、 『遅延のある環境に慣れていく前提で無線を使っていく』 『大人数参加の発表会や説明会といった場で、質疑応答の他は、会話形式ではないときには無線、少人数で活発な議論のときには有線など、使い分けていく』 といったような試行錯誤が必要かもしれない。 なおゲーミングヘッドセットは当然ながら遅延問題に対してはよりシビアであるので、ワイヤレスの場合はBluetoothではなく専用ドングル等を用いての伝送を採用する製品が多い。遅延は気になるがワイヤレスがいい! という方はゲーミングヘッドセットを検討してみるのもよいかもしれない。 ■リモート会議用スピーカーフォン ワイヤレスヘッドセットの強みは身軽さだが、その点で言えばそもそも「何も装着しない」状態で快適に通話できればそれがいちばん理想だという考え方もある。 それを実現してくれるのが、リモート会議用のスピーカー&マイク一体型アイテム「リモート会議用スピーカーフォン」だ。 名が体を表しているのでたいした説明はいらないだろうが、通話用のスピーカーとマイクをコンパクトに一体化したアイテム。コンパクトで一体型なので接続や設置がしやすく、それでいてPCやスマホの内蔵スピーカーやマイクよりは大型でしっかりとしたものとなっており、音質面での優位を期待できる。 ただし、本来は会議室と会議室をつないでの「複数人対複数人」でのリモート会議などを想定しているアイテムなので、マイクは個人ピンポイントではなく、広い範囲の声を拾うように設計されている。そこは注意が必要だ。 とはいえ何しろ、最初に述べたように、ケーブルもなければ耳元にも何もないという、実にフリーな状態で通話できる。ユーザーと機器の間がフリーなら、PC等と機器との接続は有線で何の問題もないので、バッテリーの心配もない。 例えば長時間のリモート会議に頻繁に参加することが想定されるなら、何かを装着し続ける必要もバッテリーを気にする必要もなく、体も心もとにかく身軽になる! そういった観点でスピーカーフォンを選ぶのもよさそうだ。 ■単体高性能マイクを追加する! 繰り返しになるが、我々オーディオ好きの場合、イヤホンやヘッドホンはハイクオリティどころか、通話用としては過剰なまでにハイクオリティなものが手元にあるので、ならばマイクだけを別途に用意する手もある。 そうするとマイクはマイクで、自分の声を拾わせるベストポジションに設置できるし、単体マイクならそのクオリティは天井知らずだ。 単体マイクについては非常に奥が深いので、動画配信に向けての情報をまとめてあるサイトであったり、レコーディング系の情報誌などの専門情報までチェックしてみるのがおすすめ。 逆に専門的ではないやり方やアイテムとして、パソコンやスマホの3.5mmイヤホン端子を活用する方法はここで紹介しておこう。 イヤホン端子のうち、マイク&リモコン付きイヤホンを挿せばそのマイクを使った通話もできる端子は「マイク対応4極イヤホン端子」というもの。実はそれを「普通のイヤホン端子+マイク端子」にバラけさせることのできる変換ケーブルがある。それを使えばパソコンやスマホに標準搭載のイヤホン端子をバラして、「普通のイヤホン+単体マイク」の組み合わせが使えるというわけだ。 例えばELECOM「AV-35AD02BK」やaudio-technica「AT9904」といった製品に、お手持ちのイヤホンを組み合わせれば、ヘッドセットとは一味違う通話用イヤホンシステムの出来上がりとなる。ケーブルの取り回しに工夫は必要だが。 ■お手頃価格アイテムも多い!ローコストハイリターンを狙え! 一通りのアイテムを紹介してきたが、意外とお手頃な価格から導入できるアイテムも多いことに気づいた方も多いのでは? 少なくとも趣味のオーディオよりはぐぐっとお手頃である。 また例えば、通話性能についての要求はこれらの本職アイテムに丸投げすることで、完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ際には「通話性能なんて気にせず再生クオリティだけに全振りだぜ!」という割り切りもしやすくなるかもしれない。 まずはお試し感覚で、手を出しやすい低価格アイテムからでも、通話本職アイテムの導入を検討してみてはいかがだろうか? ◇◇◇ 高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。
高橋 敦