スウェーデン、中国に捜査協力を要請 バルト海の海底ケーブル損傷で
バルト海で海底通信ケーブル2本が損傷した問題で、中国船が関係している可能性が浮上しており、スウェーデンが中国に対し、捜査への協力を正式に要請した。スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相が28日、明らかにした。 ケーブルは今月17日と18日、バルト海のスウェーデン領海で損傷した。1本はスウェーデンとリトアニアを結び、もう1本はフィンランドとドイツを結ぶものだった。 船舶追跡サイトのデータからは、それぞれのケーブルが切断されたのとほぼ同じ時刻に、中国船「伊鵬3」がケーブルの上を航行していたことがうかがえる。 同船はその後、デンマーク沖の国際水域で停泊している。 中国は妨害行為への関与を否定している。 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、伊鵬3がケーブルを故意に損傷させたと、捜査員らはみている。いかりを海底に下ろし、160キロメートル以上引きずった疑いがあるという。 ■デンマーク海軍が監視 伊鵬3は今月15日、ロシアのサンクトペテルブルク西方のウスチ・ルーガ港を出港。19日からは、カテガット海峡(バルト海と北海を結ぶスウェーデンとデンマーク間の航路)で停泊しており、デンマーク海軍が監視している。 スウェーデンのクリステルソン首相は28日の記者会見で、「何が起きたのかはっきりさせるため、中国に対し、スウェーデン当局への協力を正式に要請した」と説明。 「何が起きたのか正確に解明するのは、極めて重要だと考えている。もちろん、私たちが送付した要請に中国が応じることを期待している」とした。 首相はまた、捜査の一環として船内を捜索するため、伊鵬3がスウェーデン領海に戻るよう、すでに要請済みだと強調。同時に、自分は決してだれかを責めているわけではないと付け加えた。 ロシアが2022年2月にウクライナを本格侵攻して以降、バルト海でも緊張が高まり、海底インフラが損壊される事案も相次いでいる。 2022年9月には、西ヨーロッパとロシアを結ぶガスパイプライン「ノルド・ストリーム」で爆発があり、パイプ2本に穴が開いた。2023年10月には、エストニアとスウェーデンの間の海底通信ケーブルが損傷した。 ドイツのボリス・ピストリウス国防相は先週、今回の問題をめぐり、「これらのケーブルが誤って切断されたとは誰も考えていない」と発言。ただ、誰の仕業とみているのかは明らかにしなかった。 ロシアは、自分たちの関与を疑う意見について、「ばかばかしい」、「笑うしかない」などとして退けている。 (英語記事 Sweden asks China to co-operate over severed cables)
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