早大、全勝V王手 慶大を圧倒 HO佐藤&FB矢崎の日本代表コンビ躍動/関東対抗戦
関東大学ラグビー対抗戦(23日、早大57-3慶大、秩父宮)101度目を迎えた関東最古の定期戦、早大-慶大は、8トライを奪った早大が慶大を57-3と圧倒。ただ1校全勝を守る6戦全勝の勝ち点36で首位に立った。この勝利で帝京大の対抗戦4連覇は消滅。12月1日に節目の100度目の対戦となる早大-明大(国立)が、雌雄を決する大一番となった。慶大は2勝4敗で勝ち点15。定期戦通算は早大の74勝7分け20敗となった。 今季の大学ラグビー最多を更新する1万4677人の観衆の前で、早大が力を見せつけた。主将のHO佐藤健次(4年)が力強く前進し、FB矢崎由高(2年)が持ち前のスピードとステップで敵陣を切り裂く。日本代表コンビがチャンスをつくり、8トライを奪って57-3と完勝した。 帝京大の対抗戦4連覇を消滅させた、勝ち点6を積み上げた攻撃力。だが佐藤は「今年、一番自信があるのはディフェンス」とうなずいた。ライバル慶大を2007年以来のノートライに封じたことはもちろん、6試合で2つの無失点勝利を含む対抗戦随一の1試合平均失点5・5という守備力が、対抗戦ただ1校の全勝を続ける原動力だった。 それを体現するのが166センチ、87キロの小柄なFL田中勇成(3年)だ。自分より大きな相手に全く臆することなく、慶大の代名詞ともいえる〝魂のタックル〟のお株を奪う、低く鋭いタックルを繰り返す。「僕が早稲田の守備のスタンダードになる」と練習から志が高いディフェンスリーダーは、背番号7のジャージーを開幕から誰にも譲っていない。 元日本代表FLの佐々木隆道コーチ(41)を主導に、ミーティングは毎回ディフェンスから始まる。佐藤は「(点を)取られた分を取り返すというマインドから、取られないというものに変わった」という。 定期戦100度目となる12月1日の早明戦は、18年以来の優勝、全勝なら07年以来となる栄光を目指す大一番となる。「スーパースター軍団」と佐藤が形容する明大を、田中勇ら無名の仕事師たちが、文字通りグラウンドに倒す。(田中浩)