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外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(23) 「自己責任」論とコロナ禍

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J-CASTニュース

 2020年9月16日に首相に就任した菅義偉氏は、その夜の就任演説で「自助・共助・公助」を唱え、その後も繰り返しこの政治信条を口にしている。この「自助」という言葉に、2004年のイラク人質事件以来、この国で頻繁に使われるようになった「自己責任」を思い浮かべた人もいるかもしれない。21世紀になって強まった「自己責任」論とは何か。それはコロナ禍の文脈でどのような意味を担っているのか。 ■菅新首相の「自助・共助・公助」  就任演説で菅新首相は、「自助・共助・公助」について、こう説明した。 「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。こうした国民から信頼される政府を目指していきたいと思います」(首相官邸ホームページ)  「自助・共助・公助」という考え方は主に防災の分野で使われてきた考えで、目新しいものではない。たとえば平成30(2018)年版の防災白書では、次のように紹介されている。 「阪神・淡路大震災では、7割弱が家族も含む『自助』、3割が隣人等の『共助』により救出されており、『公助』である救助隊による救出は数%に過ぎなかったという調査結果がある。今後、人口減少により過疎化が進み、自主防災組織や消防団も減少傾向にあるなか、災害を『他人事』ではなく『自分事』として捉え、国民一人一人が減災意識を高め、具体的な行動を起こすことが重要である」 「『自助・共助』の重要性は、特に東日本大震災以降国民にも認識されるようになっている。内閣府が実施した世論調査結果によれば、『自助・共助・公助』のうち重点を置くべき防災対策としては、平成14年調査時には『公助』に重点を置くべきと考えている方の割合は24・9%であったが、平成29年調査時では『公助』は6・2%に減少する一方、『自助』は平成14年の18・6%から平成29年の39・8%に、『共助』は平成14年の14・0%から平成29年の24・5%にそれぞれ増加しており、『公助』よりも『自助』『共助』に重点を置くべきとする方の割合が高まっている。また、年齢別に見ると、平成29年調査時において、『18~29歳』では『自助』が25・0%、『共助』が31・0%と『共助』の割合が高いのに対し、『70歳以上』では『自助』が51・2%、『共助』が22・3%と『自助』の割合が高くなっており、高い年齢層ほど『共助』より『自助』を重視する傾向にある」  いつ、どのような災厄に襲われるかもしれない災害多発列島のこの国では、とりあえず「自助」で身を守り、次いで近所で助け合い、最後に「公助」の救援救助を待つという順序で物事が運ぶのは、その通りだろう。警察・消防自体が被災している場合も多く、組織的な救助救援には時間もかかる。日ごろから、ハザードマップや避難所の場所を確認し、できる範囲で防災・減災の備えをするというのは、現実的でもある。  ただ、こうした防災の世界の「常識」を、広く社会や政治全般に推し広げることは、できるのだろうか。菅新首相のいうように、「まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする」という順番で責任が問われるとすれば、その「政府責任」からこぼれ落ちてしまう人が出ないだろうか。

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