「世界報道写真展」国内で3年ぶり開催 「今年の写真」など32点展示
戦争や気候変動、人権侵害など世界の問題を伝える「世界報道写真展2024京都」が京都新聞社地下印刷工場跡(京都市中京区)で30日から始まる。イスラエルのガザ侵攻やアマゾンの干ばつ、ミャンマーの軍事政権による市民弾圧などを記録した作品が並ぶ。29日に内覧会があった。 【写真】会場となる京都新聞社の地下印刷工場跡 同展実行委(京都新聞、世界報道写真財団)が主催。同財団が行うコンテストには今年、130の国と地域から約6万点の応募があり、六つの地域ごとに四つの部門で選んだ作品など入賞作32点を展示する。日本では3年ぶりの開催で、長年、新聞を印刷した広大な工場跡を会場に選んだ。 「今年の写真」に選ばれた「めいの遺体を抱きしめるパレスチナ人女性」は、イスラエル軍の攻撃で亡くなった5歳のめいを抱きしめる女性を撮影。宗教画のように静(せい)謐(ひつ)な雰囲気が戦争の過酷さを強く訴える。 オープンフォーマット部門アジア地域優勝者は、認知症をテーマにした写真シリーズ「心の糸」を担当した松村和彦京都新聞記者。認知症の人の心情と病状をモノクロ写真で表現した。 南米地域選出の「アマゾンの干ばつ」は砂漠のように干上がった大河を歩く漁師の姿をドローンで捉え、フォトジャーナリズムの新しい可能性を示した。 同財団エグゼクティブ・ディレクターのジュマナ・エル・ゼイン・クーリーさんは「世界は対話を欠く危険な時代に入っているが、フォトジャーナリズムは私たちに問題と解決策を考える機会を与えてくれる」と写真展の意義を語った。 写真展は30日から12月29日まで(15日休館)、午前10時~午後6時。無料。30日午後3時から、京都新聞文化ホールでオープニングトークを開く。先着50人で午後1時から整理券を配布。12月22日に写真家対象の相談セッションもある。