韓国国会、法務長官・警察庁長官弾劾も可決…内乱・大統領夫人特検も通過
「12・3非常戒厳加担者」とされる朴性載(パク・ソンジェ)法務部長官と趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長官に対する弾劾訴追案が12日、国会本会議を通過した。戒厳事態に関連し、現職国務委員(長官)が弾劾されたのは初めてだ。 朴長官の弾劾案は投票者295人のうち賛成195人・反対100人で、趙庁長弾劾案は賛成202人・反対88人・棄権1人・無効4人で可決された。野党議員をすべて合わせても191人にすぎない。与党「国民の力」議員の中に少なくとも4~11人が無記名投票で賛成票を入れたということだ。 民主党の全賢姫(チョン・ヒョンヒ)議員は弾劾訴追案の提案説明で「朴性載法務長官は内乱行為に積極的に同調した責任がある」と主張した。民主党は朴長官が非常戒厳宣言2時間30分後の4日午前1時ごろ、ソウル東部拘置所に主要人物逮捕・拘禁場所をあらかじめ確保するようにと指示し、戒厳解除後も金周賢(キム・ジュヒョン)大統領室民情首席などと「2次戒厳」を議論したと疑っている。 ◇朴性載・趙志浩(チョ・ジホ)弾劾にそれぞれ195・202人賛成 趙志浩長官に対し、民主党は戒厳宣言当日にソウル警察庁所属国会警備隊を動員して国会議員の国会出入りを止め、布告令執行のために京畿道果川市(キョンギド・クァチョンシ)中央選管委と水原市(スウォンシ)選挙研修院に経歴200人余りを配置した点を弾劾理由にあげた。 朴長官は弾劾訴追案可決以降に出したコメントで「弾劾訴追の理由は推測や疑惑にすぎないもので、全く同意することはできない内容」としながら「国務委員弾劾訴追が政府の機能を麻痺(まひ)させる結果として現れないよう願う」とした。警察庁も「現状況を厳重に受けとめて、国民の皆さまに非常に申し訳ないと考える」とし「李鎬永(イ・ホヨン)警察庁次長に警察庁長官の職務を代理させた」と明らかにした。 法務部長官、警察庁長官の職務が同時に停止したのは憲政史上類例がない。李昌洙(イ・チャンス)ソウル中央地検長ら検事3人も弾劾で職務が停止した状態で、金峰植(キム・ボンシク)ソウル警察庁長は緊急逮捕されて拘束令状が申請された状態、キム・ジュンヨン京畿(キョンギ)南部警察庁長官も参考人調査を受けた。行政安全部は李祥敏(イ・サンミン)長官が辞退してコ・ギドン次官代行体制だ。ある監査機関関係者は「ボイスフィッシング、デジタル性犯罪、麻薬など民生犯罪監視網に空白ができた」と話した。 「非常戒厳特検法」と「金建希(キム・ゴンヒ)夫人特検法」もこの日、国会本会議を並んで通過した。非常戒厳特検法は在席283人中賛成195人・反対86人・棄権2人で、金夫人特検法は在席282人の中で賛成195人・反対85人・棄権2人でそれぞれ可決された。10日非常戒厳常設特検案を通過させて2日ぶりだ。 2つの特検法案に対して国民の力は「反対党論」を決めたが離脱票が少なくなかった。非常戒厳特検法案には安哲秀(アン・チョルス)・金睿智(キム・イェジ)・金容兌(キム・ヨンテ)・金宰燮(キム・ジェソプ)・韓智雅(ハン・ジア)議員5人が、発議4回目の金夫人特検法案には権泳臻(クォン・ヨンジン)・金睿智・金宰燮・韓智雅議員4人が賛成した。 非常戒厳特検の捜査対象は尹大統領が▶違憲的戒厳で国会統制権限を無力化した容疑▶国会議長・政治家などの不法逮捕を試みた容疑--などだ。特検候補は大統領が含まれていない交渉団体(共に民主党)と非交渉団体のうち、多数党(祖国革新党)が一人ずつ推薦した後、大統領が任命することになっている。金夫人特検の捜査対象はドイツモーターズ株価操作、ブランドバッグ授受、メン・テギュン関連事件など、これまで提起された15種類の疑惑だ。 一方、民主党・祖国革新党・改革新党・進歩党・基本所得党・社会民主党など野党6党はこの日、尹大統領に対する2回目の弾劾訴追案を発議した。 今回の弾劾案は14日午後5時に表決に付される予定だ。 民主党院内政策首席副代表の金容民(キム・ヨンミン)議員はこの日午後、国会議案課に弾劾案を提出した後「1回目弾劾案(7日、定足数に満たず廃棄)は戒厳直後、既存弾劾案を集合したところさまざまな内容が入っていた」とし「今回は大統領の戒厳宣言とこれによる内乱首謀者行為に焦点を合わせた。これ一つで弾劾理由が十分すぎるほど」と話した。 1回目の弾劾案には権力分立原則、軍人など公務員の政治的中立性(憲法第5条第2項、第7条第2項)など憲法と戒厳法違反などを尹大統領の弾劾理由に指摘したが、今回は内乱罪(刑法第87条)、職権乱用権利行使妨害罪(刑法第123条)、特殊公務執行妨害罪(刑法第144条)など刑法を前面に出した。 ◇2回目の弾劾案は内乱罪・職権乱用など刑法を前面に 2回目の弾劾案発議は予定(11日)より一日遅れた。金議員は「尹錫悦の内乱行為直接指示など新しく重要な事実が相次いで見つかったので、これを補充する過程でやむをえず時間がかかった」と説明した。 議論になった「価値観外交」に対する内容も外れた。民主党は1回目の弾劾案に「北朝鮮、中国、ロシアを敵対視して…北東アジアでの孤立を自ら招き、戦争危機を触発させて国家安全保障と国民保護義務を怠ってきた」と書いた。すると米国側人々はボイス・オブ・アメリカ(VOA)などのメディアを通じて「弾劾理由に3国協力推進が含まれたのは懸念すべきこと」という意見を出した。