山梨学院が優勝候補筆頭の青森山田を下し、11年ぶり2度目の優勝
徹底的に相手を分析し、相手のストロングポイントを消す。その上で自分たちの強みを発揮する。山梨学院高等学校が優勝候補筆頭の青森山田を下し、11年ぶり2度目の優勝を飾った。 【フォトギャラリー】決勝 山梨学院高等学校 vs 青森山田 山梨学院は青森山田の攻撃を封じるべく奇襲を掛ける。攻撃的な選手ではなく、展開力に秀でたCB藤原優大(3年/浦和入団内定)にFW久保壮輝(3年)をマンマークに付けたのだ。攻撃の出発点を潰し、サイドにボールを運ぶ手段を封じにいく。これにより、相手の攻撃力が半減。10対10の状態で守備に重きを置きつつ、速攻やセットプレーで仕留めにいった。すると、12分にショートカウンターからチャンスを作る。FW野田武瑠(3年)が体勢を崩されながらもボールを繋ぎ、MF谷口航大(2年)が右サイドから中にボールを折り返す。これを受けた広澤灯喜(3年)が右足でミドルシュートをねじ込んだ。 早々にリードを奪うと、以降も藤原を封じながら強固なブロックを構築。強度の高い守備と身体を張ったブロックで難を逃れ、相手に得点を与えない。 後半に入っても狙い通りの守備で凌いでいくが、57分にロングスローの流れから藤原に同点弾を決められてしまう。これでペースを崩し、5分後には途中出場のMF藤森颯太(2年)に右サイドからクロスを上げられ、MF安斎颯馬(3年)に逆転弾を決められた。 以降も相手に押され、万策尽きたかに思われた山梨学院。しかし、一瞬の隙を突いて試合を振り出しに戻す。78分にクイックリスタートから途中出場のMF笹沼航紀(3年)がスルーパスを前線に送ると、相手の連携ミスでこぼれたボールを野田が左足で流し込んだ。 限られたチャンスで同点に追い付いた山梨学院は、その後も粘り強い守備で相手の攻撃を迎え撃つ。何度もピンチを迎えたが、キャプテンのGK熊倉匠(3年)の好セーブで事なきを得た。試合は延長戦でも決着が付かず、勝負の行方はPK戦へ。すると、青森山田の2本目を熊倉が阻止し、4本目も相手が失敗。全員が成功した山梨学院がPK戦を4-2で制し、激闘に終止符を打った。 試合後、長谷川大監督は「10回戦って、1回か2回勝てればいい相手。その1回が今日に来るようにどう戦っていくかを準備して試合に挑んだ」と展開を振り返りながら、「まだ優勝の実感がない」と素直な気持ちを述べた。その中で選手たちの成長ぶりに目を細め、「今年は特出した選手はいないけど、可能性がある子がたくさんいた。彼らの強みを磨いて、俺たちは通用する、武器はこれだという所に気が付かせられたのは良かった」と頬を緩ませた。 スタッフの分析力と選手たちの頑張りで手にした日本一。コロナ禍の中で成し遂げた優勝は、多くの人の胸に刻まれる特別なものになったのは間違いない。