市村正親、息子が俳優を目指すと知ったときは「狙い通りだなと思いました(笑)」英才教育は自らの主演舞台だった
俳優・市村正親さん(75)は、戦後、舞台俳優として自ら劇団青俳を立ち上げ精力的に活動した俳優の西村晃氏の付き人を経て、73年に劇団四季の『イエス・キリスト=スーパースター』で俳優デビュー。以降、同劇団の看板俳優として『オペラ座の怪人』など数多くの舞台で主演を務め、退団以降もミュージカル『ミス・サイゴン』や、一人芝居『市村座』、ストレートプレイ『炎の人』などで活躍し、多数の演劇賞を受賞している。その圧倒的な存在感と歌声、確かな演技力で多くの舞台ファンから支持を得ている市村さんにとって大きな変化、「THE CHANGE」は何だったのだろうか?【第3回/全4回】 ■【画像】渋い!ダンディなジャケット姿、市村正親さん取材時のポートレート■ 舞台、映画、ドラマにと幅広く活躍中の俳優・市村正親さん。私生活では2人の息子の父親でもある市村さんに、『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』で声優を務めたヘルムに共感したセリフや、親としての思いを聞いた。 ――『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』では、強い王である父・ヘルムの姿を見て、娘のヘラも強くなっていきますが、市村さんは息子さんたちにどんな姿を見せたいですか? 「息子が僕の芝居を見始めたのは2歳くらいの時からなんですよ。その時に観たのがミュージカル『ミス・サイゴン』で、僕にとっては代表作だし、ブロード・ウェイでもトニー賞を取っている素晴らしい作品です。それをまず子どもたちが見始めたところから、僕の父親業が始まったような気がするんです。 それから『ラ・カージュ・オ・フォール』や『スウィーニー・トッド』なども息子たちは見ていますが、家の中では普通の親父だけど、板の上に上がったら“パパってやっぱりかっこいいよね”ってママに話しながら見ていたということを聞いて。僕がこの仕事を大事に丁寧に仕上げていくことが、逆に言えば親としての教育なのかなと思います」
「僕の狙い通りだなと思いました(笑)」
――父としての印象的なヘルムのセリフはありましたか? 「ヘルムが、甥のフレアラフ(声:中村悠一)に怒る場面があるんです。 危うくヘラを敵に奪われかけて、殺されるところだったという時に、異常なほどの剣幕で怒鳴るのですが、僕も一人の父親として、“何が何でも、絶対に子どもたちを守る”という気持ちは分かりますね。 それに、この後いい場面があるんですよ。“お前がそこまで強い娘に育っていたことを、私には見えていなかった”とか、そういうセリフの一つ一つがすごく染みますね」 ――ご長男の優汰さんも同じ俳優の道を進まれ、舞台『オリバー!』(2021年)で初共演されています。最初に、俳優を目指したいと言われたときはどんなお気持ちでしたか? 「僕の狙い通りだなと思いました(笑)。子どもの頃から僕が出演している作品を見せて“いつかこの舞台の真ん中に立つんだぞ!”ということを彼が3歳くらいのころから言っていたんです。本人も、それは今でも覚えていると言っていました。