ヤクルト・村上、逆転呼んだ2打席連発! 苦手森下撃ち、コイ倒首位奪還
ヤクルトは14日、広島5回戦(マツダ)に5―3で逆転勝ち。再びセ・リーグ首位に浮上した。村上宗隆内野手(22)が六、八回にともに同点に追い付くソロ本塁打を放ち、勝利に大きく貢献。若き主砲が今季初の2打席連発で打線に火をつけると、長岡秀樹内野手(19)の中前適時打で一気に勝ち越し、首位攻防戦で先勝を果たした。 【写真】八回にはバックスクリーンへほうり込んだ村上 それが実るまで、村上は反撃ののろしを上げ続けた。1-2と逆転された直後の六回先頭で左翼席上段へ10号ソロ。2-3の八回には同じく先頭で11号ソロ。「何とか追い付きたいという気持ち。打てて良かった」。2本の同点弾を放ち、4番打者としてチームをもり立て続けた。 1―2の六回は、昨夏の東京五輪でともに日本代表として戦い、金メダルを勝ち取った森下と対戦。151キロの直球を捉え、試合前まで対戦打率・130(23打数3安打)、0本塁打と苦手にしていた相手を初めて攻略した。 5試合ぶりの一発で流れをつかむと、再び1点を勝ち越された八回には先頭で左腕・ターリーと初対戦。カウント1―0から154キロの直球をバックスクリーンへ運び「どういう球を投げるか分からなかったですが、ストライクが来たら積極的にいこうと思っていた」とうなずいた。 この2本目の同点弾で打線は一気に活性化した。中村が一塁への内野安打、青木が四球で続き、宮本の犠打で1死二、三塁の好機をつくると、長岡が中前へのV打。高津監督は「一振りでゲームの流れ、勢いをつけられるのは、たくさんいる選手ではない」と改めて目を見張った。 村上は4年連続で2桁本塁打をクリア。リーグトップの打点を33に伸ばし、今季初の2打席連発で本塁打はトップの巨人・岡本和に1本差と迫った。その活躍の原動力は飽くなき探求心-。今季はシーズン中にバットの重さや形状を変更したり、打席ごとに打撃フォームを微調整したりしながら打席に立っている。 内川や青木、山田ら大打者を育ててきた名伯楽、杉村打撃コーチが、成績を残し続ける中でも変化を求める理由を問うと、村上はこう返した。 「最高の形、最高の成績を長く続けたいから、いろんなことをやっています」 その答えに、杉村コーチは感服。「成績を残して、まだ変える勇気は素晴らしい。すごい打者になった」と賛辞を贈る。 チームは4日ぶりに首位の座を取り戻した。「何とか明日にもつなげて、打てるようにやっていきたい」と村上。若き主砲が先頭に立ち、勝利への旗を振る。(森祥太郎) ■データBOX ❶ヤクルト・村上が六回に今季10号本塁打。チーム37試合目での10号到達は、昨季の26試合目(同年39本塁打)に次ぐ自身2番目のスピード。 ❷1試合複数本塁打は4月5日の中日戦(神宮)以来、通算9度目。2打席連発は昨年8月20日の広島戦(マツダ)以来4度目。この日の2本はいずれも同点弾。村上が1試合2発の殊勲弾(先制、同点、勝ち越し、逆転、サヨナラ)を放ったのは初めて。 ❸広島戦での本塁打はカード別で最多の25本目(2位が中日戦の22本)。先発・森下とは試合前まで対戦打率.130(23打数3安打)、0本塁打と苦戦していた相手からの一発となった。