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500年以上前のインカ帝国の供物、聖なる湖で新発見、血の儀式か

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ナショナル ジオグラフィック日本版

水の中に血の雲が広がった

 研究チームはさらに、インカ帝国が1400年代半ば、金が豊富なこの地に勢力を拡大したことを表現するため、金の円筒はリャマの像に固定されていたと考えている。ラインハルト氏は第三者の立場で、「インカ帝国の人々は宗教的な伝統を信じており、それが政治や経済と分離することはありませんでした」と説明する。「すべてが密接に結び付いていました」  今回発見されたものを含む捧げものに、リャマやアルパカの多産を祈願する意味があった可能性もある。インカ帝国の神話では、リャマやアルパカは湖から現れるとされていた。  土壌の豊かさや豊作を祈っていた可能性もある。ウミギクは約2000キロ離れたエクアドルの海に生息する貝で、海や海の女神ママ・コチャと関連づけられ、雨乞いの儀式に使用されていた。海やママ・コチャはティティカカ湖とつながりがあると信じられていた。  17世紀のスペイン人聖職者アロンソ・ラモス・ガビランは、インカ帝国の人々がティティカカ湖で行っていた儀式を研究していた。その研究論文によれば、ティティカカ湖に捧げものを沈めた後、水の中に血の雲が広がったという。神々の怒りを鎮めるため、子どもや動物がいけにえとして捧げられることがあった。その際、いけにえの血を捧げものの箱に注いでから、箱に栓をしていた。ロープで箱を沈める途中、水が染み込み、血と混ざり合って湖に流れ出し、周囲が赤く染まったのだろう。  今回発見された箱には、ボートから箱を沈める際、ロープを通すことができそうな穴が開いている。この箱にも血が注がれていたのだろうか? 今となってはわからない。痕跡は遠い昔に洗い流されてしまった。しかし、インカ帝国の祈りとともに捧げものを湖に沈める不気味な儀式に、血が関わっていたとしても不思議ではない。

文=A. R. WILLIAMS/訳=米井香織

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