育て!!北陸のアニメ人材 富山県南砺市・ピーエーワークス 「東京流出」背景に
●担い手「定着」狙い、地元出身者にアピール 南砺市のアニメ制作会社ピーエーワークスは、北陸出身のアニメーター育成を強化する。首都圏などから入社したアニメーターが成長すると、制作会社の集中する東京に移るケースが見られるためだ。自社が運営するアニメーター養成所の入所者募集に力を入れるほか、来年をめどに、小中高生らを対象に「アニメ教室」を開催してアニメの楽しさや業界の魅力を発信し、人材確保につなげる。 【写真】アニメーターなどを育成する「P.A.養成所」のパンフレット 同社によると、従来、アニメ業界では「徒弟制度」的な技術伝承が中心で、カリキュラムに基づく研修など人材育成の仕組みづくりに十分な力を注いでこなかった側面があり、人材不足の課題が浮上した。 同社は2018年にアニメーターを育てる 「P.A.養成所」 を設立し、今年からはアニメ演出の道を志す人材の育成も開始。ここ2年ほどの間に、他のアニメ制作会社でも養成所を設ける動きが相次いでいる。 そうした中、同社は人材獲得に向け、来月14日に養成所のオープンキャンパスを開催。アニメーターやアニメ演出に興味を持つ人に向け、講義を体験したり、現役アニメーターから業界の現状を聞いたりできる場を設ける。 さらに人材の定着を視野に、「アニメに興味がある北陸の若者へのアピール」を強化するため、来年から「アニメ教室」を年1回程度、富山県内で開催することを検討している。業界志望者向けのオープンキャンパスと、低年齢層にアニメの楽しさを伝える事業を組み合わせたものを想定し、今後、詳細を詰める。 同社は城端が舞台モデルの人気作「true tears」などで知られ、現在はチューリップテレビなどで「パリピ孔明」を放送中。制作を手がけた劇場アニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」は上海国際映画祭で最優秀アニメーション作品賞を獲得した。 同社が運営する養成所は制作スタジオに隣接しており、同社所属クリエイターが講師を務めるのが特長。1年間の講習を経た後、試験合格者は面談の上、正社員として採用される。1人暮らし向けの寮も斡旋(あっせん)するなど、受け入れ態勢の整備にも力を入れる。 帝国データバンクによると、アニメ制作会社の9割が都内に集中する。そんな中、ピーエーワークスは南砺市の桜ケ池付近にあり、養成所のパンフレットでは「里山に立地しているので誘惑も少なく、自然の中や静かなところが好き、人混みが苦手な方には最適な環境」とPRする。 オープンキャンパスは高校生・大学生・専門学校生・社会人(25歳まで)が対象。応募締め切りは来月6日で、同社ウェブサイトのエントリーフォームから申し込む。詳細は https://www.pa-works.jp/pa-school/ まで。