なぜ村井チェアマンはJクラブハウスの新型コロナPCR検査場使用を菅官房長官に提案したのか?
緊急事態宣言が全国へ拡大された後も猛威をふるい続ける新型コロナウイルス対策に関して、Jリーグの村井満チェアマンと政府が意見交換、その中で、Jリーグ各クラブののクラブハウスをPCR検査の検査場として提供するプランを提示していいたことが明らかになった。 Jリーグは21日にウェブ会議形式で月例の理事会を開催。終了後にビデオ会議アプリ『Zoom』を介したメディアブリーフィングを行った村井チェアマンが、前日20日に東京・永田町の首相官邸を訪問し、菅義偉内閣官房長官と会談の場を設けていたことを明かした。 きっかけは15日の臨時理事会後のメディアブリーフィングで、報道陣から「Jリーグとして医療機関を支援する可能性はありますか」と問われたことだった。 公式戦開催時に地域の医療機関の協力を受けてきた歴史もあり、村井チェアマンは「何ができるのかを自問自答してきました」と言い、こう続けた。 「おこがましい話かもしれませんが、国難とも言われている新型コロナウイルスに奮闘されている国に対して、Jリーグとして何か協力できることはないでしょうか、という点でご助言をいただきました。まだ具体的に我々に何ができるのかが明確にあるわけではありませんが、いろいろな角度からスポーツがどうあるべきか、というところもご指導いただきました」 新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べるPCR検査が追いついていない現状に対して、医師会と自治体が直接連携する形で、パンク状態にある保健所を介さずにPCR検査を受けられる取り組みが東京都から広まろうとしている。 この動きにJリーグとして、各クラブのクラブハウスを提供するアイデアを、会談のなかで提案したことも村井チェアマンは明らかにした。 「現在は全国の39都道府県に56のクラブがあり、ほとんどがシャワーや事務スペースを有したクラブハウスをもっています。駐車場やグラウンドなどもあるなかで、ひとつの仮定ですが、屋外に仮設テントやプレハブハウスを作るなりして、地域の医療スタッフがクラブハウスを利用してPCR検査をする体制に供することができるかもしれません、と長官に申し上げた次第です」 検査にあたる医師や技師の問題は残るものの、周囲から隔離された環境を用意できるのではないか。 こう考えた村井チェアマンは「何の根拠もない話ですが」と前置きした上で、提案の中身を明かした。ただ、地域密着を掲げるJリーグの理念にも沿ったプランは、別の意味をもっているとも言える。