オーストラリアのやよい軒 サバ定食が2500円もする理由
料理は1品ずつ格調の高い和風の陶器に盛りつけられ、色取りや見せ方がうまい。鰹節や昆布だしの「うまみ」、「一汁三菜」といった日本の食文化にこだわっているというだけあって味付けはシンプルで、濃い味を好むオーストラリア人に合わせた現地の一般的な日本食レストランとは一線を画している。ただ、京都人の記者はそれでもやや甘辛いと感じた。会計はビール込みで、2人で合計63豪ドル(約6,100円)。客単価もおそらく30豪ドル(約2,900円)前後だが、立地や店構え、サービス、凝った料理を考えればむしろ妥当だろう。周辺の高級レストランの客単価がざっと100豪ドル以上(約9,700円)であることを考えると、むしろ安いとさえ言える。 ■一風堂の豚骨ラーメンは1,500円 YAYOIの2,500円のサバ定食が高くない理由は、本家とのコンセプトの違いに加えて、日本の2~3倍高いオーストラリアの物価水準にある。昼食を簡単に済ませるにも、コンビニでサンドイッチ(4豪ドル=約390円)とコーラ1缶(2.5豪ドル=約240円)を買うだけで600円以上はかかる。セルフサービスのフードコートでも、飲み物込みで10豪ドル(約970円)以内に収まればいい方だ。レストランなら低・中価格帯の店でも20~30豪ドル(約1,900~2,900円)は下らない。日本の外食大手、力の源カンパニー(福岡市)が2012年にシドニー市内にオープンしたラーメン店「博多一風堂」では、豚骨ラーメンが1杯15豪ドル(約1,500円)する。 物価とともに賃金も上昇してきた。ホワイトカラーのマネジャー職の年収は現在、ざっと10万~15万豪ドル(約970万~約1,500万円)といったところ。法定最低賃金も時給16.87豪ドル(約1,600円)と東京都(869円)のおよそ2倍となっている。つまり、普通のビジネスマンでも2,500円のサバ定食は抵抗なく食べられるし、アルバイトの若者にとっても1,500円のラーメンは特に高くないのだ。店側も従業員にそれだけ給料を払っているので、相応の料金にしなければ経営が成り立たない。