岸田首相vs.習近平主席、2度目の「日中首脳会談」で“これでもか”と見せつけられた中国の「上から目線外交」
日中首脳会談のニュースが出てこない!
毎朝、起きたら『人民日報』のインターネット版を読むのを、もう長いことの日課にしている。言わずと知れた世界最大の政党・中国共産党(党員数は昨年末時点で9804万人)の中央委員会機関紙だ。いまや私の中国人の友人知人の中で、『人民日報』を熟読している人など皆無で、変人扱いされている。 【写真】バイデンよ、ただで済むと思うな…プーチン「最後の逆襲」が始まった だが、外国人の中国ウォッチャーとしては、ブラックボックスの共産党政権を理解するには、やはり昔も今も『人民日報』である。特に、「習近平日報」とも揶揄(やゆ)される昨今、同紙には習近平総書記の「イイタイコト」や「オモッテイルコト」が、日々満載なのである。 そんな中、先週末11月18日土曜日の『人民日報』を開いて、ぶったまげてしまった。当然、一面に大きく載っていると思っていた岸田文雄首相と習近平主席の日中首脳会談のニュースが、出ていなかったのだ。 一面トップの見出しは、「習近平は主催者の賓客とともにAPEC首脳の非公式対話会及びワーキングランチに出席した」というものだった。確かに、11月15日から17日までアメリカ西海岸のサンフランシスコで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合の話題ではあった。 水色のネクタイをビシッとつけて着席している凛々しい習近平主席の大判写真がついている。習主席の後ろには、まるで憑依霊のようにピンボケの王毅党中央政治局委員兼党中央外交工作委員会弁公室主任兼外相の姿が写っている。 その他の一面のニュースの見出しは、順に以下の通りだった。 「習近平がAPECビジネスCEOサミットで書面の講演文を発表した」 「習近平がメキシコのロペス大統領と会見した」 「習近平がペルーのボルアルテ大統領と会見した」 「習近平がブルネイのハサナル・スルタン(国王)と会見した」 このように、3ヵ国のGDPを加えても日本の足元にも及ばないような国々との首脳会談の記事が並んでいた。いずれの記事にも、習近平主席とそれぞれの首脳がにこやかに握手を交わしている写真がついていた。 心にモヤモヤ感を抱きながら、2面をめくってみる。上部の半分近くを割いて、以下のタイトルの長文記事が掲載されていた。 「心を同じくして協力し、チャレンジをともに迎え、アジア太平洋の新たなページを記す――APECビジネスCEOサミットでの書面での講演文(2023年11月16日、サンフランシスコ) 中華人民共和国主席 習近平」 それは、一面で要旨が書かれた講演文の全文だった。