Jリーグ20年、アルシンドからのメッセージ
――具体的なプランを聞かせてください。 「それはまだないんだけど、自分は日本で本当によくしてもらって、お金も稼がせてもらった(笑)。だから、何かの形でお返しをしたいんだ。今までは鹿島に帰ってこそのアルシンドだと思っていたら、今日もそうだけど、どこにいってもみんなに声をかけてもらえる。当時はいろいろとチヤホヤされても、もう20年も経っているわけだから、自分のことなんて忘れられてもおかしくない。『友達ならアタリマエ』というCMが日本で流行ったというのもあるんだろうけど(笑)。これほど嬉しいことはないよね。何とかこれからも日本とのいい関係を続けていきたい」 ――来年6月にはブラジルでワールドカップが開催されます。 「その前に日本が今年6月のコンフェデレーションズカップに出場するよね。そこでもいいプレーを見せてくれるはずだし、ワールドカップでもそのプレーを継続できれば、最終的にけっこういいところまで行けると僕は信じているよ」 今年10月で46歳。髪の毛はすっかり短くなったが、トップの“輝き”は当時をほうふつとさせる。そして、お茶目で憎めない性格も。3対1でレッズが逆転勝利を収めた試合後の取材エリア。取り囲んでいた記者の一人に突然カメラを手渡して、取材を受けている光景を撮影してくれと頼み込んだ。 「おいおい、いったい何に使うのか?」 「あとでフェイスブックね」 感慨に浸りながらも、ビジネスアピールも忘れない。直後に浮かべたまるで悪戯小僧のような笑顔が、アルシンドさんの周囲を20年前にタイムスリップさせていた。 (文責・藤江直人/論スポ) 東京都生まれ。サンケイスポーツ記者としてJリーグ創成期のサッカー、五輪、MLBなどを担当。2000年からは角川書店でスポーツ雑誌「スポーツ・ヤァ!」の取材・編集に携わり、2002年日韓共催、2006年ドイツの両サッカーW杯を現地で取材。現在は不定期のスポーツ雑誌&WEBの「論スポ」の副編集長を務め、日本代表やJリーグを中心にサッカーも鋭意取材中。著書に「立石諒 追い抜く力」(イースト・プレス)。