Jリーグ20年、アルシンドからのメッセージ
――組織の中に個性が埋没している、と。 「一緒に試合を見ていたポンテさん(元レッズ)とも話したんだけど、組織的なプレーは本当にすごいと思う。でも、特に中盤の選手、外国人じゃなくて日本人に限って言えば、発想力というのがもう少し欲しい。技術的にはものすごく伸びているし、20年前と比較にならないほどみんな上手くなっているんだけどね」 ――20年前はアルシンドさんを筆頭に選手の個性が輝きを放っていました。 「あの時期にはカズとかゴンのように、堅くて組織的なディフェンスを個人で破ってゴールを奪う選手がいた。中田英寿もそう。日本人に帰化していたラモスも、とてつもない個の力を持っていた。そういう選手が、今日見た感じでは見当たらなかったのがちょっとね。それも創造力のひとつとして考えると、やっぱり物足りない部分なのかな」 ――創造力あふれる選手になるためには、どのような努力が必要なのでしょうか。日本サッカー界の後輩たちへ向けてメッセージを。 「才能ある選手というのは、いっぱいいると思う。でも、その中で小さい頃から、それこそユースやジュニアユースの時から、いろいろな創造力を発揮できるような工夫をしていかないと。ある程度の年齢になっていきなり出そうとしても難しい。ブラジルでも同じようなことが言えて、ペレやジーコのような天才的な閃きを持った選手が少なくなっている。世界的に見てもそう。かつてはものすごい創造力を持った選手が大勢いたのに、今はメッシただ一人しかいない。クリスティアーノ・ロナウドもいるけど、どちらかというと彼は点取り屋だからね」 ――ブラジルのCFZというクラブを最後に、現役を引退したのが2000年。今はどのようなお仕事を。 「南部のパラナ州に自分の農園を持っていて、トウモロコシや大豆を育てて売っているんだ。会社も設立していて、自分の嫁が社長を務めている。2人で分業のような形でやってきたけど、今は少し落ち着いたのでサッカーを含めたスポーツの方に戻りたいと思っているんだ。自分のライフワークとしてね。自分のサイトやフェイスブックを立ち上げたところだよ」