トランプ関税脅威に中・日・欧州は頭悩ます…手をこまぬいているのは韓国だけ
米国のドナルド・トランプ次期大統領が貿易収支赤字を解消するために主要貿易国に高率関税をかけると予告している中で、ターゲットにあがっている国々は生き残りをかけて各自動いている。 12日、韓国産業界によると、中国は正面衝突に備える動きを見せている。4月に関税法を改正し、報復関税で対応できる法的根拠を用意した。今月に入り、中国が半導体製造などに使われる4大希少金属の米国への輸出を禁止し、米国半導体企業のエヌビディア(NVIDIA)に対して反トラスト法(独占禁止法)違反容疑で調査を着手したことを巡り、ブルームバーグ通信が10日(現地時間)、「貿易戦争に備えて交渉カードを集めている」と分析した。また、中国は貿易葛藤で火花を散らしていた他の国に手を差し伸べている。火力を米国に集中するためだと考えられる。今月3日、オーストラリア産牛肉輸入禁止措置を完全に解除したのが代表的な事例だ。欧州連合(EU)も報復関税カードに手を掛ける強硬派に属する。 メキシコは強弱両面戦略を繰り広げるものと分析される。トランプ氏が先月26日、高率関税賦課で例外の適用を受けられる条件として「フェンタニルなど薬物類と不法移民流入遮断」を掲げ、メキシコ政府は今月4日「フェンタニル1100キロ(2000万人に同時投薬可能量)を押収した」と明らかにした。前日には国境を越えて米国への不法移民を試みた5200人余りを逮捕したと明らかにした。一方でクラウディア・シェインバウム大統領は先月26日に記者会見を開き「関税がひとつかけられれば、これに対する反応として他の関税措置が取られるだろう」と報復関税の可能性をちらつかせた。カナダも似ている。ジャスティン・トルドー首相は先月29日、トランプ氏の自宅を訪ねていって泣訴したが、9日には自国の行事で報復関税の可能性を示唆した。 日本と台湾は穏健派だ。台湾は米国製武器購入を拡大し、中国内生産施設を米国に移転するなど米国への投資拡大を検討中だという。日本の場合、韓国石油公社は先月27日に報告書を出して「トランプ第2期を迎え、米国産LNG(液化天然ガス)輸入を大きく拡大する計画」と分析した。韓国貿易協会のチャン・サンシク動向分析室長は「各国は▶国力▶米国との経済的相互依存性▶多者間協定の有無▶政治・外交的関係▶内部政治的要因--などにより、独自の戦略を立てている」と診断した。 問題は韓国だ。産業通商資源部は先月末まで「米国産原油やLNGなどの輸入を増やす場合がある」という穏健策を中心に幅広い戦略を準備してきた。しかし、今月3日尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳・解除事態に続いて、現在は弾劾政局が繰り広げられて混乱に陥った。産業研究院のキム・ドンス上級研究委員は「このような状態で次期米国政府が来年1月20日スタートして本格的な交渉に入れば、平常時よりももっと多くのものを差し出さなければならなくなる危険がある」と懸念した。