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GIGAスクール構想への取組みを聞く(2):ソフトバンク編/SB C&S編

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 児童・生徒に対し1人1台の情報端末配備を今年度中に目指す政府のGIGAスクール構想。構想実現に向け端末提供などをスタートさせた通信各社の動きを取りまとめる短期連載、その2回目をお届けする。今回は、ソフトバンクならびにSB C&Sにご登場いただく(敬称は取材時点)。 【この記事に関する別の画像を見る】 ■取り組みを聞く:ソフトバンク編  ソフトバンクの取り組みについて、法人プロダクト&事業戦略本部 公共事業推進室 事業企画部 教育ICT推進課 課長 澤田大輔氏と、同 担当部長 田中光太郎氏にお話を伺った。 ――GIGAスクール構想では、基本パッケージと応用パッケージの2つのプランがあるかと思います。まずは、御社の端末ラインナップについてお聞かせ下さい。 澤田氏  基本的な考え方としまして我々が提示している基本パッケージは「補助金の対象はここまでになります」と指し示す意味合いだと捉えています。ですので、基本はこう、応用はこう、と強調するつもりはあまりありません。  そのため、基本パッケージと応用パッケージで提供端末の区別はしていません。端末とMDM、キーボードをセットにした基本パッケージが土台で、その上に必要に応じたソリューションをプラスしたものを応用パッケージと位置付けています。  コンテンツ、保守・研修サービスなど一般的なメニューに加え、弊社が特徴として打ち出している特別支援学級向けカスタマイズも応用パッケージに該当する部分と捉えています。 ――端末は共通で、追加の有無で変わってくるということですね。では、土台である端末についてですが、これはLTEモデルが中心でしょうか。 田中氏  そうですね。我々は通信キャリアですから、やはりWi-Fiが届かない校外でも利用していただけるよう、LTEモデルを中心に御提案しています。ですが、お客様がWi-Fiモデルを希望されればご提供できるようにしています。 澤田氏  とはいえ、LTE接続に対するニーズの高まりを強く感じています。これまでは、校内利用に限定される場合はWi-Fiモデル、それ以外の場所でも使うならLTEモデルという、ある種の棲み分けがあったように思います。ところがコロナ禍で登校できない事態となり、状況が一変しました。もともとWi-Fiモデルを導入された自治体から、モバイルWi-Fiルーターを調達したいというお声掛けもいただくほどです。 ――LTEモデルの場合、通信容量についてはいかがでしょうか。動画をたくさん見てしまうとすぐ使い切ってしまうおそれもありますが。 田中氏  通信容量の上限に達して低速化することへの懸念もあると思いますが、逆に「使いすぎると何が起きるか」を学ぶ大事な機会という側面もあるのではないでしょうか。ですから、上限を超えないことが善、とは一概には言えません。単に容量の問題ではなく、コンテンツフィルタリングやセキュリティといった、使われ方へのマネジメントが大切だと思います。  もちろん、動画による学びは今後ますます重要になってきますから、間違いなく利用量は増える方向にあります。大容量プランも適切なコストで提供させていただくことは我々の大きな価値だと思います。 ――なるほど。では、応用パッケージの部分についてお伺いします。まずは端末にアドオンされるコンテンツについてですが、コンテンツパッケージのようなものはございますか。 田中氏  あらかじめ決め打ちはせず、お客様のニーズに合わせて個別に御提案しています。というのも、指導主事の先生方など、窓口役の皆さんはコンテンツについて知見をお持ちのことも多いように思います。実際「このソフトがいいと思うが」といった形でご相談いただくことの方が多いと感じています。一方で、コンテンツを選定しきれていないお客様もいらっしゃいますので、その場合は各社のサービスをフラットな立場でご提案しています。 ――導入後の研修にはどのようなメニューがありますか。 澤田氏  授業を行う先生方向けの基礎研修、校長先生や教育委員会向けの管理者研修があります。これとは別に、弊社にはApple社の「Apple Professional Learning」資格を有する社員がおりますので、iPadを導入された場合は応用的な研修も提供可能です。この部分は弊社の強みと自負しています。 田中氏  今はとにかく機器の導入が優先されがちですが、それらを入れたら終わりという話ではありません。来年以降は導入後の部分、すなわち授業への活かし方がクローズアップされてくるでしょう。研修を通じて効果的な利活用につなげていただきたいと思います。また最終的には、自治体、教育委員会、学校が自走できることが理想で、そのお手伝いをすることも我々の大事な仕事の1つだと捉えています。 ――冒頭で特徴として挙げていただいた、特別支援学級向けの取り組みについて教えて下さい。 澤田氏  弊社ではCSRの事業として、特別支援学級などにタブレットやPepperなどを一定期間無償で貸し出す「魔法のプロジェクト」を推し進めています。2010年から現在まで10年にわたり継続してきましたので、この分野でのノウハウも相当蓄積されています。今回、この部分を応用パッケージの一部として御提案しています。  分かりやすい具体例としてはアクセシビリティが挙げられます。音声案内を使ったり、大きく表示させたりと、利用される子どもたちの実態にあった設定をすることが重要です。応用パッケージでは、ノウハウを生かしたキッティングを実施させていただきます。 ――Pepperも教育分野におけるキラーコンテンツといいますか、御社ならではの強みですよね。 澤田氏  ええ。既に取り組みは3年以上続けており、800校以上に導入いただいています。私たちのチーム自身は、現在はGIGAスクール構想への対応に注力しているのが実情ですが、次のステップとして、プログラミングの義務教育化を踏まえたPepperの御提案をさらに推進していきたいと思います。 ――GIGAスクール構想で、ガラッと状況が変わってしまいましたね。今日はありがとうございました。 ■取り組みを聞く:SB C&S編  SB C&Sの取り組みについて、ICT事業本部 販売推進・技術本部 EM営業統括部 エデュケーションICT推進室 室長 古泉学氏にお話を伺った。 ――御社はソフトバンクグループの原点であるIT流通事業をされていらっしゃいますので、GIGAスクール構想においてもデバイス等の流通をメインにされているのでしょうか。 古泉氏  そうですね、まさにディストリビューターとして、販売パートナー様に「GIGAスクール構想向けパッケージ」を卸す事業を行っています。取扱端末は、iPad、Windows、Chromeのフルラインナップで、基本パッケージではWi-Fiモデルを、応用パッケージではLTE搭載の端末も含めて幅広く取り揃えています。このルートでは、自治体や教育委員会などのエンドユーザー様とやり取りをするのは販売パートナー様となります。  ただし、それだけではなく、もう1つ別のルートもございます。  それは、弊社が直接エンドユーザー様にお伺いし、主にiPad導入に関する最適な環境構築のお手伝いをさせていただく「導入支援サービス」です。私が室長を務めるエデュケーションICT推進室が、その専門組織となっています。 ――2つのルートがあるのですね。ではここからは、古泉様が担当されている「導入支援サービス」についてお伺いします。具体的にどのようなことをされているのでしょうか。 古泉氏  導入前の設計から導入後の運用サポートまで、垂直統合で提供しています。  GIGAスクールの仕様書に明記されている通り、基本パッケージにはMDMが含まれていますから、MDMをもとに簡単にキッティングもこなせる印象があるかもしれません。しかし本来は、導入後の利活用シーンを想定しながら適切なパラメータ(設定値)を決定した上でキッティングを行う必要があり、その工程を省くと、後々トラブルが発生することもあります。  我々が携わる場合も、最終的に端末をお届けするのは販売パートナー様となります。そのため、導入後のサポートがスムーズに行えるよう、パートナー様に対しても導入した端末の設計書や定義書を必ずお渡ししています。あわせて、トラブルが起きた場合の対応者も運用設計に明示しています。 ――なるほど。では、導入後の研修についてはどのような対応をされていますか。 古泉氏  我々は段階に応じた研修プログラムを提供しています。まずは基本操作を中心とした基礎研修を行い、ある程度稼働した段階で活用研修に移行します。ここでは、効果的な活用方法が中心となります。最後に、さらに活用の幅を広げるための応用研修へと進んでいきます。  我々のチームには、Apple社のオフィシャル研修認定であるAPL(Apple Professional Learning)を取得したメンバーが2名在籍しています。国内のAPL認定者は10名程度と聞いていますので、この部分は大きな強みの1つです。 ――これまでお話を伺っていると、まさにシステムインテグレーションの世界ですね。 古泉氏  おっしゃるとおりです。ただし、我々が見たところ、これまでの教育マーケットにおいてはSIの概念があまりないまま、進んでしまったところも多いと思います。ですから、今は市場の変換点といいますか、分岐点に来ていると思います。 ――それぞれのお客様に、かなり手厚く対応されている印象ですが、そうなると幅広く対応するのが難しくありませんか。 古泉氏  いいえ、そんなことはありません。約8年にわたって導入支援を手掛けており、導入いただいている自治体数も既に300を超えています。 ――では最後に、今後の展開についてお聞かせください。 古泉氏  GIGAスクール構想によって、教育機関に一斉に端末が配備されることになりますが、その後は、導入された端末をどのように利活用していくかに焦点がシフトしていくと思います。  ですから、導入後もサポートや利活用の部分で、パートナー様と一緒になって、エンドユーザー様との関係性を維持していきたいと考えています。 ――ありがとうございました。

ケータイ Watch,MCA 村川宗太