幼児期の先取り教育は逆効果だった…「小学校4年生で成績は逆転する」衝撃の研究結果と本当に必要な早期教育
■小学校低学年までに育てたい「5つの力」 最後に、これからの教育で重視すべき力として注目されているものを紹介します。「SMILE」を育むことで、スムーズに習得が叶っていくと私が考えるスキルです。もちろん「SMILE」を育みながら、同時に習得していく子供もいるでしょう。 それは、最近耳にすることが多くなった「非認知能力」です。興味や関心、意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力など、「数字では表せない能力」のことを指します。OECD(経済協力開発機構)では、非認知能力を「社会情動的スキル」という言葉で表し、「個人が21世紀の課題に対処し、もたらされる機会からの恩恵を受けるのに役立つ」スキルとしています。 学歴は高いのに人とのコミュニケーションが得意でないために仕事がうまくいかない人や、知識は豊富なのに実行力がなくてそれを生かしきれない人がいることを考えると、非認知能力が人生においていかに重要か理解できると思います。 この非認知能力は、幼児期から小学校低学年くらいまでに育てるのが効果的であるとされています。実際、子供が社会的・情感的スキルが小学校での最初の数年間の成績の基盤となっていることが、さまざまな研究によって指摘されています。 さらに、これから世界で求められ、子供が自分の才能を生かして世界で羽ばたくために欠かせない力として「自己肯定感」「考える力」「意志力」「社会的スキル」「国際的スキル」の5つがあると、私は考えています。それぞれ、説明します。 ■日本人は特に自己肯定感が低い ●自己肯定感 すべての力の基盤となるもの、子供の成長における「栄養」のようなものです。自己肯定感がなければ、意欲や行動力、コミュニケーション能力などが育ちませんし、子供の持てる力を十分に発揮することができません。日本人は特に自己肯定感が低いので、最重視したい力です。 ●考える力 豊かな想像力や感性、思いもよらない発想、ものごとを分析する力や自分で考えて判断する力です。まだ言葉を十分に話せない1歳の子供でも育てていくことができ、さまざまな体験や遊び、読み聞かせ、美意識を育てる家庭環境が、これらの力を養います。 ●意志力 自分のやるべきことをやり遂げるために、自分の思考や感情、行動などをコントロールする力です。非認知能力に含まれる忍耐力や自己制御能力は、意志力を養うことで身につきます。似たものに「実行機能」がありますが、幼児期に実行機能を身に付けるかどうかが、その後の人生にも影響すると言われています。 ●社会的スキル 協調性やコミュニケーション能力、共感する力、これからの世の中に欠かせない非認知能力です。また次の国際的スキルは、この社会的スキルがなくては育ちません。 ●国際的スキル 多様性や文化の違いを尊重し、自国の文化を大切にしながら、他国への理解を深める力です。英語をはじめとした語学力も、世界と渡り合うための基本ツールです。ただし語学力だけでは不十分で、この国際的スキルがあって初めて、国際社会で通用するようになります。 これら5つの力は、学校や塾に頼らずとも育むことができます。むしろ、家庭でなければ育てられない力も多いかもしれません。子供のことをよく知っていて、子供との愛着関係を持つ保護者だからこそ、育てやすいものです。