愛知県美術館と愛知県陶磁美術館が地方独立行政法人化。2館一体運営へ
愛知県が、愛知県美術館と愛知県陶磁美術館について、地方独立行政法人化させ、2館一体運営とする方針を固めた。 愛知県は今年4月に「愛知県文化施設活性化基本計画」を公表し、愛知県美術館と愛知県陶磁美術館に関して、地方独立行政法人化の可能性・効果などの検討を進めてきた。 県は地方独立行政法人化によって、自主性に富んだ中長期的な美術館運営が可能になるとしており、「企画展などで生じた剰余金を翌年度以降に活用する等の柔軟な財務運営による安定的な美術館運営」や「美術館運営に精通した事務職員の採用・配置による、美術館の経営・運営能力の向上、企画展等の安定的な開催」を見込む。 また学芸員については、「対外的な執筆や講演活動等で研鑽を積むことによる学芸員の研究職としての能力向上や、大学をはじめとした外部との連携強化による美術館事業の充実」「研究活動等の学芸員の活動の重要性が、中期目標や中期計画、業務実績評価によって可視化されることに伴う、学芸員の意識向上や美術館の事業の再評価」「職務環境の魅力向上による、優秀な学芸員の採用」の3点が期待できるとしている。 現在は単年度予算のため難しい中長期的な経営・運営や、定期的な事務職員の異動、学芸員の対外的な執筆や講演活動などの制限などを地方独立行政法人化で解消したい考えだ。 いっぽう2館一体運営の効果については、「運営の効率化」や「専門人材の配置」「マネジメント機能の強化」、「学芸員の成長に資する環境整備」などを挙げており、総務業務などの統合で美術館運営を効率化させ、それによって生じた人件費を活用した広報・マーケティングや資金調達などの専門人材の採用・配置、広報機能などの強化につなげるという。また美術館にとっては大きな課題である外部資金獲得についても、国庫補助事業や科研費等への申請事務が2館一体化することで効率的・効果的な獲得につなげる。 なお今後は25年2月以降に「定款」が作成され、26年4月の愛知県美術館・愛知県陶磁美術館の地方独立行政法人の設立を目指す。