「国内が暗いのは経済界や国民のせい」ショルツ首相のもとで没落の一途をたどる「ドイツの不幸」
次期も首相でいるつもりらしい
なお、ショルツ氏が関わっているといわれる犯罪は他にもある。2020年、DAXの優良企業のはずだったワイヤーカード社が、負債額35億ユーロを抱えて破綻した事件だ(DAX上場の企業の倒産は史上初)。 この事件では、本来、不正会計を監督するはずの機能が、なぜか全く麻痺しており、連邦金融監督庁の長官の首が飛んだ。そして、この時のドイツの財相がショルツ氏で、当然、氏の関与も強く疑われている。主犯の一人と言われる男性は今も潜伏したままで、国際指名手配となっている。 しかし、ショルツ氏はそれらには触れることはなく、こちらも記憶喪失のまま、のらりくらりと時効を待つつもりのように見える。 周知のように、ドイツは現在、没落の一途を辿っているが、ショルツ氏はこの3年間、自分は首相として良い政治をしたと主張しており、国内が暗いのは、文句ばかり言っている経済界や国民のせいだという。経済界の集まりで辛辣な批判にさらされても、「景気が悪いという話は経済界の挨拶のようなもの」と、やはりにやにやしながら言い捨てた。 そして、次期も首相でいるつもりらしく、「私の公認は私」とのこと。現在の社民党支持率は15%。11月の政治家人気ランキング(INSA)では、ショルツ氏は20人中19位だった。 反省のない点では、連立を組んでいる緑の党も同様で、ハーベック経済・気候保護相は、現在、緑の党の支持率が11%であるにもかかわらず、やはり次期の首相候補に名乗りを挙げた。
現在のドイツ悲劇の大きな要因
そもそも、ショルツ政権の3年間余りの間に何が起こっていたかといえば、ひたすら政府の内部抗争だった。つまり、社民党と緑の党が進めた脱炭素、大量難民受け入れといった国家破壊政策や、EVシフト、そして、それらを続けるための補助金や税金のばら撒きに、現実派の自民党が抵抗し続けた。 しかし、実際問題としてお金は足りないから、水道代やゴミの収集といった逃げられない料金が値上げされる。いわば隠れた増税である。 そんなわけで、産業立地として高くなり過ぎてしまった現在のドイツでは、企業の国外逃避、解雇、倒産が止まらない。これまで不況を直視しようとしなかった国民も、フォルクスワーゲンが工場閉鎖、3万人解雇を言い出した途端、突然、目が覚めた。 しかも、おかしくなっているのはフォルクスワーゲンだけでなく、他の自動車産業も同様だ。また、化学産業、鉄鋼など、ドイツを支えていた基幹産業もすでに軒並みドイツに見切りをつけ、運ぶ貨物がなくなったドイツ鉄道までが、3万人もの解雇を計画している。 しかし、経済音痴のハーベック経済相(緑の党)は12月3日、DAX(ドイツ株価指数)が初めて20,000ポイントを超えたといって大得意。ただ、ドイツ優良企業の利益は、約8割が国外であげられているので、DAXの吉事も国民にはほとんど恩恵をもたらさない。 そういえば、氏は今年の3月、前年のCO2排出が減ったことを、やはり自分の手柄として自慢していたが、CO2の減った理由も、もちろん不況で生産が落ちたからだった。はっきり言って、この経済相の存在こそ、現在のドイツ悲劇の大きな要因である。