飲食店の倒産、給付金効果で大幅減少 コロナ禍で最多の前年から200件超の急減
人手不足に原材料価格の高騰と課題散見
2021年秋以降は緊急事態宣言などが全面解除され、年末年始の書き入れ時に一定の集客を確保できた飲食店は多い。しかし、長引くコロナ禍で生活様式が変化していることに加え、オミクロン株の急激な感染拡大により、まん延防止等重点措置が多くの都道府県で適用され、認証店、非認証店で差はあるが、休業・時短営業などがはじまった。飲食需要の再度縮小が懸念され、厳しい状況が続きそうだ。さらに足元では、新型コロナの影響による需給環境の変化により、食品業界も原材料の値上げラッシュと難局に直面している。
飲食店の倒産、コロナ禍の2020年から200件超の大幅減に
2021年中に発生した飲食店の倒産は569件(前年比27.1%減)だった。前年から200件超の減少となり、2016年以来5年ぶりの500件台となるなど、大幅な減少となった。自主的に事業をたたむ休廃業・解散件数も前年から8.7%減の494件だった。
飲食店は、コロナ前から消費税の引き上げやパート・アルバイトを中心とした人手不足により、倒産は増加傾向にあった。そうしたなか、2020年は緊急事態宣言などの発出で外出自粛や休業、時短営業などで外食需要が消失し、年間では過去最多となる780件を記録した。特に、アルコールの提供制限を受け、宴会需要が大きく消失した居酒屋への影響は大きく、2020年4月に過去最多となる23件が発生。年間でも189件と、2019年(161件)を30件近く上回り最多を更新した。しかし、飲食店への協力金給付が開始した2020年12月以降、月別の倒産件数にも顕著に表れているように、休業・時短協力金や休業補償など、給付型マネーを中心としたコロナ関連支援策の効果がうかがえる。
引き続き、体力の乏しい中小・零細企業が倒産の中心となっているものの、中堅規模の飲食店でも倒産の割合が高まっている。負債額別では、負債5000万円未満の小規模な倒産が7割超を占める一方で、負債1億円以上では10.9%となり、2017年以来4年ぶりに1割を超えるなど、傾向や内容に変化がみられる。