“詐欺メイク”、ネガティブな印象にどう向き合う? ポジティブに変換したメーカー側の英断
■「爆誕」「詐欺」と思い切ったワードチョイスで新商品を定着させた戦略
コロナ禍を経てマスクが外せるようになった2022年頃から、整形の施術をメイクにも反映する「中顔面短縮メイク」がトレンドに。各パーツを大きく見せる、盛るのでなく、顔全体のバランスを見た上で、人中を短くするなど、トリックアートのようなメイク技術による詐欺メイクにシフトチェンジしてきた。そんな2022年10月、同社は、目元のメイクに注力するブランド「アイホリック」をスタートさせ、その第1弾として「アイホリック ラメペンシル ツヤぷくベージュ」を発売。パッケージには「涙袋爆誕」とインパクトのあるワードが表記されていた。 「それまでの涙袋のメイクは、目の下にキラキラのアイシャドウを乗せるのが定番でしたが、この頃は、韓国のメイクアップアーティストさんのテクニックとして、コンシーラーを使うことが国内に広まってきたタイミングでした。それに伴い、他社さんも徐々にアイシャドウからコンシーラーの商品に切り替えられた時期でした。 若手プランナーたちが話し合う中で、『涙袋を作る』ことを分かりやすく表現するのに『爆誕』というワードがすごくいいねと盛り上がったんです。社内でも共感してもらいましたし、結果的にすごく惹かれるワードとしてお客様にも受け入れていただきました。『コンシーラーペンシル』は若手プランナーのアイデアから最先端のトレンドに着目したアイテムで、弊社らしいワードのチョイスもあり、お客様に認知いただいた商品だと思います」 そして2024年6月には『アイホリック 描く粘膜ペンシル』を発売。こちらのパッケージには「粘膜詐欺」「下まつげ詐欺」の文字が配置されている。「詐欺」というキーワードを用いたのはかなり思い切った発想だが、これも社内の話し合いから生まれたという。 「前の商品に代わるインパクトのあるワードをチョイスしようと検討がありました。『詐欺メイク』自体、そこまでネガティブな印象ではなくなっていた時期でしたが、『詐欺』自体は決して良い言葉ではありません。『どう受け入れられるか』との懸念もあったので、社内でも検討を重ね、得意先さんにもご意見をいただきながら最終決定になりました。こちらも発売してみると、やはりワードの分かりやすさという点でお客様に認知されたと思います」