1日にタイヤ値上げ 「安いうちに」
天然ゴムなど原材料価格の高騰を受け、国内外の多くのタイヤメーカー各社が1日から、7~10%程度の値上げを実施する。自動車が必需品の群馬県民や運送業界では、値上げ前に駆け込みで購入する動きが加速。群馬県内の販売店は需要の取り込みに力を注いでいる。 峠の釜めしが値上げ 1100円から1200円に 荻野屋
値上げ直前の週末となった26日、カー用品店のオートアールズ前橋みなみモール店(前橋市新堀町)の店頭には「タイヤを買うなら今がお買い得」と書かれたのぼりがなびいていた。夏用タイヤを購入した松井俊裕さん(67)=玉村町=は「通勤で車を使っている。収入が増えないのに値上げされては大変だ」と不安をのぞかせた。
同店は2月以降、通常より2倍の量のタイヤを仕入れた。新型コロナウイルス下の外出自粛やテレワークの普及により、客足は一時5~10%落ち込んだが、3月の売り上げはタイヤの販売増がけん引してコロナ拡大前の2019年同期と比べても15%増えた。店には値上げ額や時期についての問い合わせが相次いでいる。 須田英介店長(32)は「需要増の影響で一部メーカーでは欠品もあると聞くが、計画的に仕入れたので問題なく提供できている。タイヤは生活必需品の一つなので、値上げが消費者の負担になるのは心苦しい」と話す。
中古タイヤも扱うカースチール(前橋市総社町)では、3月以降の客足が急増した。新品と比較して中古タイヤを購入する客も多く、1~3月の中古タイヤの売り上げは、前年同期比40%増で推移している。リサイクル営業部の清水倫さん(49)は「新品が値上がりするということもあり、少しでも安い物を求めるお客さんが増えている」と分析する。
貨物輸送やバス、タクシーなど運輸事業を手掛ける永井運輸(同市南町、永井豊社長)は、タイヤの値上げに備えて3月、冬用タイヤを約220本購入した。永井社長(68)は「メーカーから8%前後の値上げと聞き、金額も大きいので早めに手配した」と話した。
国内メーカーのタイヤ値上げ 国内メーカーは1日から、ブリヂストンが7~10%、横浜ゴムが最大9%、ダンロップやファルケンをブランド展開する住友ゴム工業が冬用タイヤを約10%、それぞれ値上げする。既にトーヨータイヤは1月から、住友ゴム工業は夏用タイヤを3月から約10%値上げしている。