学校の健康診断、脱衣必要? 「不快な経験」訴える子も、疾病見逃しには懸念
学校健診の在り方が報道されるようになり、過去の経験を保護者に打ち明けた子どももいる。横浜市の橋本早苗さん=仮名=は、中3の娘、里美さん=仮名=から「小6の時の健診ですごく嫌な思いをした。ショックだった」と明かされた。里美さんは上半身裸で健診を受けた。その場を立ち去らないうちに、校医が近くにいた養護教諭に「最近の子は発達が早いね」と話すのを耳にした。 橋本さんは「セクハラだと思う。娘は自分の体の変化に一番敏感な時に自尊心を傷つけられ、ずっと嫌悪感を抱えていた」と指摘する。正確を期すためやむを得ないこともあるかもしれないが「1人の人間として子どもの思いを尊重してほしい」と訴える。 横浜市教育委員会によると、市医師会と健診の在り方に関する話し合いを続けていて、来年度の健診までに一定の方針を出すという。市教委の担当者は「子どもたちの病気を見逃さないことも、心情に配慮することも大切。そのバランスがどう取れるか、方法を探っている」と話した。 ▽イラストを付けて説明
国の通知などを受け、方針を転換した自治体もある。 京都市教育委員会はこれまで市内の小中高校に対し、原則、上半身を脱衣して健診を受けるよう通知していた。しかし、プライバシーと心情への配慮を求めた1月の文科省通知後、市学校医と協議の上で対応を見直した。2月末に各学校に通知を出し、24年度からは「原則、体操服や下着の着衣、タオルなどで体を覆った実施」とした。 内科・脊柱検査については、留意点として次のように記載した。 『児童生徒や保護者に、正確な検査・診察の重要性(疾病の見逃しの可能性など)を伝えた上で、胸部を隠す工夫など配慮を行いながら対応』 「工夫例」として、体の前面を見る場合、胸部を隠して聴診するイラストを付けて説明した。 市教委の担当者によると、学校医側からは「皮膚や脊柱の疾患を正確に診られるのか、(着衣によって)リスク面もあることを保護者に理解してほしい」との声が寄せられた。着衣による脊柱検査に不安を感じ、脱衣を希望した子どももいたという。 ▽「発見率低下の可能性」