「ガルウイング」は序の口? 「バタフライ」「顔面ドア」など不思議なドアをもつ衝撃のクルマたち
ガルウイングから驚きの「顔面」開閉式まで! 個性的ドア車
通常、クルマのドアは前方にヒンジがあり、後方から横に開くタイプが一般的。だが、中にはちょっと変わった開き方をするドアを採用した市販車も存在する。スーパーパーカーなどに多いガルウイングドアがその代表格だが、ほかにも様々な個性的な開閉方式を採用し、実際に公道を走っていたクルマが意外とある。ここでは、そんなちょっと変わったドアを持つ異色の市販車たちを紹介しよう。 【画像31枚】「顔面」ドアを持つイソ・イセッタや、日本にもあったガルウイングのセラなど
ガルウイングの元祖は300SL
スーパーカーなどに採用されることで有名なガルウイングドアだが、そもそもの元祖は1954年に発売されたメルセデス・ベンツの「300SL」。 SLクラスの初代にあたり、世界初のガソリン直噴エンジンを搭載したこの2シーター・クーペには、車体の外側上方に向かって左右のドアが開く方式を採用。その開いた時のフォルムが、翼を広げて飛ぶカモメに似ていることから、「Gull Wing door(カモメの翼)」といった愛称が付けられたのだ。ルーフにヒンジを付けた跳ね上げ式のこのタイプは、デザイン的にも画期的だったが、採用された理由は意外にも実用面だったという。 「公道版レーシングカー」として開発された300SLは、軽量化と高剛性を実現するために、まるでジャングルジムのように小径の鋼管を組み合わせたマルチチューブラーフレームを採用。その構造上、どうしてもサイドシル(ドアの下に位置する敷居部分)が高くなりすぎて、通常のドアでは乗り降りに相当の苦労を擁する。そこで、ドアを上方に跳ね上げる方式にすることで、高いサイドシルをまたぐ様に乗り降りする仕様にしたのだ。 ルーフ強度などの問題で、今では採用するモデルはほとんどないが、当時としてはかなり斬新だった300SLのガルウイングドア。後に映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で活躍した「デロリアン・DMC-12」などにも採用されるなど、一時はレーシーでかっこいいドアの代名詞として一世を風靡した。