金髪女性の写真で「シリアにいる米軍医です」ロマンス詐欺犯がBuzzFeed記者に接近 だまされたふり取材で分かった手口とは
被害の相談が増えているロマンス詐欺。詐欺犯と思われる人物は、BuzzFeed Newsの記者にも接触してきた。「騙されたふり」をしたことで見た、その手口とは。【BuzzFeed Japan/相本啓太】【BuzzFeed Japan/貫洞欣寛】 【写真】「全て夢だったらいいのに」ロマンス詐欺で貯金を全て失った女性、恋心を利用された被害や手口を語る
公開投稿に見知らぬ人の「いいね」
BuzzFeed News記者(貫洞)のFacebookの公開投稿に「Takashi Sandra」という名の見知らぬアカウントから「いいね」がついたのは、2022年2月下旬。 間もなく同じアカウントからメッセンジャーで「ハロー、私は大阪出身の医師です。あなたはどこにいるの?」と英語のDMが入った。 プロフィール写真は白人女性。こう書いてあった。 「大阪狭山市出身で米軍の整形外科医。(シリアの首都)ダマスカスで国連下で活動中」 メッセージで「シリア内戦の国連PKOに参加している」と伝えてきた。 シリア内戦で国連PKOにスタッフとして加わった米軍の軍医。 一見、もっともらしいプロフィールだ。それだけで関心を持つ人や、「大変ですね」と同情してしまう人は少なくないだろう。記者も一瞬、そう感じかけた。 しかし記者の専門は中東情勢で、内戦下のシリアを何度も現地取材してきた。だから国連がシリア内戦にPKOを派遣していないこと、さらにシリアと国交断絶中の米国軍人がダマスカスにいないこと、つまりプロフィールが嘘だと言うことに気がついた。 「詐欺だ」と判断し、その尻尾をつかんで手口を知るため、騙されたふりをしてみることにして、「東京にいますよ」と返事した。「あたたかい反応ありがとうございます」と返ってきた。 この人物からはその後「おはよう」「今何してますか」「どんな食べ物が好きですか」などと数時間おきにメッセージが送られてきた。 こちらからの返答は、あいさつを返す程度の最低限に留めた。 メッセージは英語が中心だったが、文法や綴りの間違いが多く、ネイティブの文章とは思えない。自動翻訳とみられる奇妙な日本語で送られてくることも少なくなかった。