北山宏光出演「卒業タイ厶リミット」小説ならではの仕掛けを見事に映像化 原作・ドラマどちらからでも!
見たかった空が広がって、重なった夢が動き出す皆さんこんにちは。ジャニーズ出演ドラマ/映画の原作小説を紹介するこのコラム、今回はみっくんが「花の妖精」と謳われたこのドラマだ!
■北山宏光(Kis-My-Ft2)・出演! 「卒業タイムリミット」(2022年、NHK)
「朝ドラ」のむこうを張って(? )この春から新設されたNHKの「夜ドラ」。月~木の夜、15分の帯ドラマだ。その第1弾となったのが辻堂ゆめ『卒業タイムリミット』(双葉文庫)を原作にした同タイトルのドラマである。 卒業式を3日後に控えた私立欅台高校で、人気英語教師の水口が何者かに誘拐された。それにタイミングを合わせたかのように、4人の生徒あてに「誘拐の謎を解け。真相は君たちにしかわからない」という手紙が届く。手紙を受け取ったのは体育会系男子の荻生田、学年一の美少女・小松、学年トップを争う秀才女子・高畑、そして教師の手を焼かせた元不良の黒川。 タイムリミットは72時間。4人は、犯人は学校関係者ではないかと推理し、密かに探索を始める。水口の周囲を調べたり、信頼できる教師から情報をもらったり、水口と確執のあった教師を洗い出したり。しかし、探索を進めながらも疑問は拭えない。「君たちにしかわからない」と言われても彼らには心当たりがないのだ。なぜこの4人が選ばれたのか。自分たちが何を知っているというのか──。 というのが原作・ドラマに共通する設定だ。ドラマでは4人にだけ水口の監禁動画が送られ、学校側は事件を隠蔽しようとするのに対し、原作ではまず監禁動画がネットにアップされ校内が大騒ぎになる。それと並行して警察の捜査も始まる──という違いがある。 違いは他にも多々あって、ドラマに登場する警察がらみの場面やコミカルなパートはどれも原作には存在しないし、不良の寺木も増田明美も出てこない。伊藤先生の家を家探ししたりもしない。水口の監禁場所が判明した後の展開はドラマの完全オリジナルだ。原作ではその場所ですべての謎解きが始まる。何より、みっくん演じる小菅理事長のキャラが原作とドラマでぜんぜん違うんだけど! まあ、それは後述するのでしばしお待ちを。 ただ、いろいろ違いはあれど、最も大事な「なぜ4人が選ばれたのか」「黒幕は誰で、その動機は何か」という部分は原作と同じなので、原作ファンも安心してドラマをご覧いただきたい。──え、原作ファンが気にしてたのはそこじゃないって? だよねー。実は原作読者にとって最大の興味は、「この仕掛け、どうやって映像にするの?」だったから。