1回戦 市和歌山、延長制す(その1) 現校名で初勝利 /和歌山
<センバツ2019> 23日に幕を開けた第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)の開幕試合に登場した市和歌山は呉(広島)と対戦し、延長十一回、3-2でサヨナラ勝ちを収めた。同校のセンバツ勝利は市和歌山商時代の2005年以来で、現校名下では初めて。また、県勢は1924(大正13)年第1回大会以来、センバツ通算100勝を達成した。市和歌山は大会第6日第2試合(28日午前11時半開始予定)の2回戦で高松商(香川)と対戦する。【後藤奈緒、砂押健太】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 市和歌山持ち前の堅実野球が序盤から発揮され、保護者やOBらで埋まった三塁側アルプススタンドは沸いた。 一回、先頭打者の山野雄也選手(3年)が二塁打で出塁すると、後続が内野安打で続き、無死一、三塁から緒方隆之介選手(3年)の三ゴロの間に山野選手が還った。早速の先制点に応援団はメガホンを打ち鳴らして盛り上がった。山野選手の母久美さん(49)は「よっしゃ!」と喜びつつも、「まだまだこれから」と試合を見守った。 先発した岩本真之介投手(2年)は立ち上がりからテンポの良い投球で相手打者に狙い球を絞らせない。父昌之さん(53)は「球が速く、よく伸びている。自分の息子ではないようだ」と驚いた。 バッテリーを組む主将の米田航輝捕手(3年)も落ち着いたリードで、父隆英さん(48)は「うまく配球している」とストライクが決まるたびに拍手を送った。 九回、同点に追いつかれたものの、延長十一回、山田佳吾選手(3年)が安打で出塁して、2死二塁の好機を迎えるとスタンドのボルテージは最高潮に。片上柊也選手(3年)が中前打を放ち、山田選手が好走塁を見せてサヨナラ勝ちが決まると、保護者らは抱き合って喜び、涙を浮かべた。片上選手の母あつみさん(42)は「よく粘ってくれた。次の試合も頑張ってほしい」と笑顔で拍手を送り続けた。 ◇「3番の役割果たせた」 緒方隆之介選手(3年) チームの中軸として3番・遊撃手で出場した。「待ちに待った日が来た」と気持ちを高ぶらせてこの日の初戦に臨んだ。 1点リードする五回1死一、二塁の好機に打順が回ってきた。やや高めに入ってきた2球目の変化球に食らい付き、二塁走者を還す左翼への適時打でリードを広げた。「3番の役割を果たせてホッとした」と表情を緩めた。 自ら「チーム一の負けず嫌い」と言う。練習を終えて帰宅した後は、父要輔さん(44)が自宅1階を改造して作った室内練習場で打撃練習に打ち込み、力強いスイングを身につけた。 昨年10月の県2次予選では左手首に死球の直撃を受けて骨折した。しかし、テーピングで手首を固定して6日後の次戦に出場し、5打数2安打と活躍。半田真一監督(38)からも「チームの精神的支柱」と信頼はあつい。 初戦は突破したものの、自らは1安打にとどまり、もどかしい思いもある。「今日は持ち前の長打力を発揮できなかった。しっかり調整して次は狙いたい」と2回戦に向け、気を引き締めた。 ◇智弁和歌山選手、はつらつと行進 23日のセンバツ開会式には、市和歌山とともに、2年連続13回目出場の智弁和歌山の選手も入場行進した。 智弁和歌山は、昨年センバツを制した大阪桐蔭の主将らに続き、昨年準優勝校として出場32校中トップで登場した。多くの観客が見守る中、準優勝旗を手にした黒川史陽主将(3年)に、選手たちが続き、はつらつとした行進を見せた。開会式を終え、黒川主将は「大勢の観客がおり、わくわくした。列の前を歩き、チームを引っ張っていく気持ちが改めて出た」と話した。 チームは大会第6日第1試合(28日午前9時開始予定)で熊本西との初戦に臨む。 ……………………………………………………………………………………………………… 呉 00000010100=2 10001000001=3 市和歌山 (延長十一回)